性について読むvol.6 -LGBTの間違った捉え方 クィア理論について-
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これまでの記事
最初の記事では、まず、性についての固定観念のの蓋を外しやすく するために、みんなの持っている「ふつう」は場所や時代によって変わるよとい う話をしました(http://www.nylon.jp/blog/maria/?p=8616)。2つめの記事は昔の日本の性文化を紹介することで、近代の性のタブーという考え方は時代によって生まれてきたという 話をしました。(http://www.nylon.jp/blog/maria/?p=8670)3つめは近代の性のタブーから生まれた 性表現の自主規制、その表現の進化についてでした。( http://www.nylon.jp/blog/maria/?p=8682)4つめは、西洋美術からみる少年の捉え方というものをお伝えしてきまいした。(http://www.nylon.jp/blog/maria/?p=8785)そして今回は、セクシャルマイノリティについてです。みんなが知っているLGBTから一つ踏み込んだ記事になります。
もうみんなが知っているLGBTという単語
知っているから偏見はないが一番危ない。今回の本が言いたいことはそれです 。このブログを読んでいる人であればLGBTとはどんな意味なの かを知っていると思います。それこそ5月にはLGBTパレードた るものが行われて、GAPやDESELともコラボレーションが行 われ、レインボーカラーをよく目にする事が多くなりました。なに を今そんな記事というかもしれませんが、今回紹介する本の筆者は 、「もぅ知ってるよ」という人が一番危ないという警鐘を鳴らして います。もしあなたの一言が実は誰かを傷つけているとしたら?ブームがセ クシャルマイノリティと言われる人たちの人権を助ける手立てにな っているのかもしれませんが、それと同時に様々な問題が出ている という事を忘れてはいけません。
LGBT少年A君
ムーンライトという映画が公開されましたね。友達がいい映画とい うのでレビューをみていました。☆が5つもつけられた『LGBT の少年が・・・』と書かれていて、はわはわしてしまいました。ま たこの『LGBT男性』という言い回しはNHKテレビの報道で使 われてしまっていたということも問題です。またドンキーホーテで 男子トイレ女子トイレLGBTトイレができたというニュースもは わはわものです。LGBTという言葉を知っているというだけで、 深くその意味を考えていないという事が、この表現をもたらしてし まったのは見てとれますね。それとムーンライトは誤解を招く映画になりうると思うのは、まず 、映画のPRとしてセクシャルマイノリティを題材にしたとうたっ ていると同時に貧困、麻薬、といったまったく別の一般的な負のイ メージをギュギュっと押し込んでしまったということです。
カテゴライズは本当にいるの?
人をカテゴライズすることによって、できるメリットはたしかにあ ります。しかしながらカテゴライズが新たに偏見を生む危険性があ ると筆者はいいます。例えばテレビで活躍するオカマというジャン ル。良くしゃべり、場を盛り上げるイメージがありますね。ですが それはごく一部のオカマちゃんであって、すべての人が面白くしゃ べれて、場を盛り上げる人ではありません。なのに第三者はそれを 当たり前と思ってしまうのですね。女装家が面白い話もできない根 が暗い人だったとわかってがっかりしたなんてのは変な話です。そうなってしまうのも、ある意味当然で、人間は人をカテゴライズ してしまうと、そのカテゴライズにある固定観念(ステレオタイプ )で人の性格などを決めつけてしまいます。また、そのカテゴライ ズされた人物にその役割相当の期待を求めてしまうものです。(そ れはセクシャルマイノリティ限らず、他の個性にも。男だったら力 持ち、出来そうな営業マンの服着ていればセールスが上手いとは限 らない様に)逆に言えばカテゴライズは人に固定観念をつくり、根 拠のない差別を作ってしまうわけです。(この内容は社会学の役割 についてで学べると思います)
アウティング
この件は私の反省を込めて書きたいなと思います。アウティングと は自分がこういう人間だとカムアウトするのではなく、第三者がそ の人の意志関係なく事を公開してしまう事です。ゲイの○○君が・ ・・とか○○君ゲイだったんだね、なんてフツーに言ってたのです が、いやはやこれはりっぱなアウティングやないかと思いました。 でもそれは反省、知識を得た私は今後はそんな失敗をしないでいけ ばいいわけです。
クィアスタディを知る
こういったそんな目に見えにくい問題達を見極めるために、クィアスタディというものが存在します。今回おすすめする本はクィアスタディ入門編として作られた本になります。セクシャルマイノリティの問題を歴史や専門用語の解説、実例をと もに解説しています。またこの本のおすすめできる点は入門編からより詳しい知識へと身 につけられるために、歴史、フェミニズム、アート、小説
ジャンルごとにおすすめの本を紹介している点です。無知は恥ずかしい事ではなく、知ろうとしないことの方が恥ずかし いこと。レインボー国旗の旗を振ってこれでみんな幸せだねーなんて言う前 に、どうやったら今傷ついている人がどういうことが間違った誤解を生 んでしまうのか、この運動によってどういった人が逆に負担になってしまうのか、そ ういったことを知っていくことが大事なんだと思います。
追記:私情な価値観をここに。facebookもベースに、たくさんの性の選択が増え、自分はどれに当てはまるかなんていうのは、考えたこともあるでし ょう。性が多様的にあることを知って、様々なプラスや、自分以外にも同じ人がいるのかと安 心する人もいると思います。そしてここにきて性の多様性があることを認知できるような取り組みは大切なことだと思います。しかし自分がどこに値するかは常に変動するということをお忘れな く。そしてLGBTとかセクシャルマイノリティとか それをピースフルな意味として、 かかげていたりするのは個人的にはどうしても苦手です。どうしてレインボーマークが好きではないのかその理由を考えていました。答えはとても簡単で、私はマジョリティ(多数派)でもマイノリティ(少数派)でもどちらにも存在していないから。言い換えると、自分が男なのか女なのか、どんな人が好きなのか、 自分がどんな性としてみなされたいのか、実にどうだっていいということ。そういうとパンセクシャルだね、なんて言われるけど、 私からしてカテゴライズ自体がされたくないものです。確かに、社会がつくった女性像は好きではなくて、だからって”女 性として自分を”なんて尊重したいわけでもない。
私は私、たったそれだけの真実 を、私たちは何度も忘れてしまいますね。
カテゴライズすることでできるメリットとデメリット、それによって報われる人、苦しんでしまう人がいるということを、常に考えていかないといけないかもしれません。
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