性について読むvol.5-美少年美術史を学ぶ
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これまでの記事
今回の記事は性についての続きです。少し間があいてしまったので、今まで性の記事ではどんなことを書いていたのかというのをざっくり紹介します。最初の記事では、まず、性についての固定観念のの蓋を外しやすくするために、みんなの持っている「ふつう」は場所や時代によって変わるよという話をしました。(記事の内容はコチラ)2つめの記事は昔の日本の性文化を紹介することで、近代の性のタブーという考え方は時代によって生まれてきたという話をしました。(記事の内容はコチラ)3つめは近代の性のタブーから生まれた 性表現の自主規制、その表現の進化についてでした。(記事の内容はコチラ)そして今回の4つめの記事は西洋の美術、主に少年愛についてをご紹介します。今回紹介する本:美少年美術史: 禁じられた欲望の歴史 (ちくま学芸文庫)
少年愛(Greek Love)とは
少年愛とかいうと ふつう である貴方はちょっと危険なイメージを受けるでしょう。現に児童ポルノに規制などもかかっていることにより、少年美術に対してのイメージは人によっては悪いイメージを受けてしまうのかもしれません。古代ギリシャの同性愛は今日の同性愛とは少し違うものになります。ざっくり分けて二つ。一つ目は成人男性に青年が求愛を受け剥奪されることが名誉であったということ。むしろ求愛されない方が大変な恥であったということです。二つ目は軍隊の中で強い結びつきがあることにより、互いが互いを守るために戦うという密集部隊戦法として効果的であったということがあります。
西洋美術史においての少年の定義
そして西洋における少年が描かれる意味はなんだったのでしょうか。西洋の絵画は基本誰もが見て美しいと感じる絵が多いですね。それもそのはず、美 というものをとっても大事にしているからです。ですので、西洋の少年を題材にした絵画は、美の追求であったということ。何故男性は老人や中年より、少年がもてはやされたかというと、若い、無垢、潔白なイメージが西洋の美術において大事なキーワードであったからです。この3つが大事だという証拠は性器を見ればまずわかります。
性器の捉え方
男性についているソレ。たった一本のスティックごときですが、時代が変われば、場所が変わればおのずと捉え方が違います。みなさんは男のソレの大きさや種類にどんなイメージを持っているのでしょうか。大きくて凛々しいマグナムスタイルのほうが男らしいというのが近代の一般的な考え方です。西洋美術の場合、はまさにその逆。みなさんが一度は教科書で一度は目にしたことのあるダビデ像、見て頂ければわかると思いますが小さいし包茎です。今であれば笑いものにされてしまうスティックですが、西洋の美の基準は、潔白さにあるのです。一度でも大人の味を知ってしまったものは不潔!!という考え方です。また大きさも大きいほど「愚かさ」や「醜さ」、「色欲」のイメージが強くなります。よって童貞こそ大人の味を知らない潔白の証であり、性の証が小さい方が美しいのです。西洋の美術は基本的にその時代の美の理想を押し込んだものです。様々な人物像は小さくて包茎が多いです。(ちなみに見上げる形を見越しているダビデ像は、遠近法を考えて頭が大きめに作られています)
美の永遠は死をもって
若さ=美であるならば、逆に言えば老いてしまったものは美しさが消えてしまう。しかしどうあがいても人は老いてゆく。美のロマンは死というスパイスを掛けることによって美に不死のパワーをやどしました。絵画の多くには目を閉じ深い眠りに落ちた男性が描かれています。深い眠りは、そこから永遠に起きることがなく、神秘的なイメージさえ感じます。西洋の美術では、永遠の死をテーマにした話は題材として多く使われました。
ダヴィンチは両性具を愛した
ヨハネはどことなく中性的な顔をしていますね。本書いわく、美の、究極の形が男と女の二つを兼ね揃えたもの=中性像で結ばれたのではないかと考えています。また本書には書かれていないのですが、モナリザも、女性の絵ではなく、女性と男性の絵を組み合わせたものという説があります。西洋史の美術は基本、表面上の美の追求です。
これを理解していれば、おのずと絵画の見方も変わってくると思います。また本書のシリーズは少年愛だけでなく、など、様々な視点をたくさんの写真をもとに解説しています。西洋の美術の価値観の比較として前回の記事日本においての性の表現(春画)も読んでみてください!(記事の内容はコチラ)これまでのみなさんなれば、スティック一本見逃すところですが、これからは、スティックにも注目してみてくださいね。
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