芸術の秋、 #21_21 DESIGN SITE #デザインの解剖展 に注目!
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「デザインの解剖展: 身近なものから世界を見る方法」
21_21 DESIGN SITEがやることは一味違います。動きにフォーカスした動きの化学展や、とことんものごとを数字でみてく単位展など、企画性がとても強いです。そして21_21 DESIGN SITEは、その展示の“見せる”のプロ。様々なカ所にデザイン的なパフォーマンスが施されています。
今回の展示は飲食商品を様々な切り口から分解(解剖)し、その結果報告を展示するといったもの。その分解具合が気持ちわるいほど細かい分解方法で、パッケージのフォルム、ロゴ(音の響きからシルエットや色味)、注意書き、質、量、香り、成分、カロリー、広告に使用される単語の個数、消費されゴミになっていくその形まで、とにかく分解していきます。そして分解した調査結果を、大衆用にわかりやすく見せて(デザインして)います。
私達が消費する160円の単価のモノにはあらゆる労力と歴史と技術があるということに、否応にも気づかされる。武蔵野美術大学 的にいってしまえば基礎デザイン学科の集大成 なんだけど、マス(大衆)に向けてたメッセージ性の強さ、うまさに心奪われます。いかにこの展示魅力的に、スタイリッシュに、ユーモアも取り入れつつ、わかりやすく見せられるかどうか。今回の私の記事では、普通だったら見逃してしまう魅力や、楽しめるノウハウを紹介します。
入って早々のマップは見逃しちゃいけない。
まず注目してほしいのは、第二ブース入ってすぐあるマップ。普通であれば、「あ、ここのブースのマップね。道順はこっち。ふんふん、じゃあ行くか!」で、通り過ぎてしまうところですが、実はこれ、とんでもなくありえないのです。普通マップは会場のそこまで目立たない端っこか、パンフレットの裏にあるのが基本。なぜってマップだし、インスタ栄えするようなおしゃれなものでもない。ですがこの展示のマップはまるで見てくれといわんとばかりに、どどん、と入口にこれでもかというくらい大きくそびえたっています。大体の人がマップってなんならみないもの。ですがマップがこんなでかく表示されることもないからみんなみんなとりあえずここで立ち止まり、「なにこれ?」ってちょっとは読む。それで、このイベントの見方のHOWTOをざっくりわからせてくれるのです(じゃないとこの展示を楽しめないから)。個人的にはみんなが一度は立ち止まって、とりあえず読む光景を、脇から見てほしいです。

特に細かく見る必要はない。
展示ひとつひとつの構成は、30cm角の白い什器に解剖した物をわかりやすく伝えるオブジェクト、そしてその内容を伝える説明文で成り立っています。説明文は2つのバージョンがあり、時間のない人用のぱっとみてもわかる説明書き、長時間持て余した人用により詳しくした説明が書いてあります。このイベントを120%楽しむには文字を全て読まないといけないのか、と思いますが、そんな必要はありません。ただ知ってほしいのが一つの商品の全て知るにはどれだけの時間が必要になるかということ。それぐらい一つのモノにあらゆるものが関わり、デザインされているのです。そのことに気づいてもらうがために、ものすごく細かい解剖をひとつ残らず展示しているということが、このデザインのパフォーマンスなんです。確かにこれからデザインを勉強したい!と思うなら得になることではあるかもしれませんが、さして関わりがない場合は読んでも明治の飲食博士になるだけになると思います。
まさかのスピーカー(ミニマリズムの結果)
この展示で一番のミソはどうやって大衆(大人でも子供でも初心者でも専門でも)に商品の魅力をいかに直感的に(簡単に)伝えきれるかどうか。極限に要らないものを省いていくと、1つものに焦点を当てられ、直感的にそのものの魅了が現れるようになる。これがミニマルデザインという方法です。この方法がこの展示で多種にわたってあるのですが、その1つの答えとして 商品名の音の響きというものを 展示するために、起きた不思議なデザインがあります。台のうえには物が置かれるわけでもなく、埋められたスピーカーがあるだけというカタチに。そして7秒おきくらいに商品名を言うe(いぃ)声が流されます。 これを見たとき え、なにこれ と思ったのですが、そゆことね(笑)、とおもいました。もっと欲をいえば、声をいうものを展示するのならば、スピーカーもみえないただのまっしろな台にして、どこからかe声が聞こえる感じにしたらとても面白い形になりますね。
巨大模型は視覚的に触感を楽しむ。
この展示では4点の明治食品に終点を絞っているわけですが、その魅力を伝える方法のう1つとして商品を極限に大きくした模型が設置されています。ただ大きくしてインスタ栄えさせようとしているわけではないのです。大きくすることによってみえる食品たちの様々なこだわり。きのこの里の香ばしいさくっと感(きのこのえにかけて白っぽくなるその感じ)やアイスの口どけ感(表面のところがやんわり溶けてる感じ)など、食感を視覚的に感じ取れるようにしているのです。個人的ににはそれ以外にこのデカ模型の細かい芸に注目してほしいですね、アイスの断面じゃないほうの蓋の裏も羞恥心捨ててのぞいてみてください。


照明構成は一言言っといて。
ちょっと残念だと思うところは照明の構成がうまくないところ。行けばわかりますが展示されているものにどうしても影ができちゃて見にくかったりすることがあります。なので、この展示を企画してたそれっぽい人(オシャ髪でオシャ眼鏡で何故か手ぶらで一人の人とか)やスタッフを見かけたらその近辺で「陰出来てみにくくな~ぃ?写メりたいのに影はいっちゃわな~ぃ?」とそれとなく友達と会話しといてください。なぜなら彼らは私たち一般の人達のためにデザインするわけで、専門的な人に評価されるよりも、一般の人の声こそが彼らの評価につながるからです。

どうやって表現しているかも含めて楽しめ!
きのこの山のカロリー数をフナしめじ何個文化を値段とカロリー含めてレシートで表現したり、アイスクリームのカップの容器の形を再現するために握り心地を含めてての模型で表現しちゃったり、きのこの山のロゴを立体化してロゴの魅力を別の角度から面白さを見せたり、、、、このように、みんなにわかりやすくするためにはどんな表現が使われているかも含めてみると展示を普通にみるより倍楽しめちゃうというわけです。、、、と、改めて読み返してみて、スペースデザイナーの私らしい職業病的な見方だと思いました。とりあえず見てみて損はない展示なので、芸術の秋らしく、よかったら見に行ってみてください^^
開催期間 | 2016/10/14(金)~2017/01/22(日) |
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時間 | 10:00~19:00(10/21、10/22は六本木アートナイト開催にあわせ22:00まで/いずれも入場は閉館30分前まで) |
休館日 | 火曜日、年末年始(12/27~2017年1/3) |
入場料 | 一般1,100円/大学生800円/高校生500円/中学生以下無料/障害者手帳をお持ちの方と、その付き添いの方1名は無料 |
会場 |
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angelic milk(music artist)—http://www.nylon.jp/blog/maria/?p=7929
1991downtown(fashion select shop)—http://www.nylon.jp/blog/maria/?p=7862
GRAPE MAGAZINE(independent magazine)—http://www.nylon.jp/blog/maria/?p=7734
EDITORIAL MAGAZINE(independent magazine)—http://www.nylon.jp/blog/maria/?p=7527
RADDLOUNGE(fashion select shop)—http://www.nylon.jp/blog/maria/?p=6645
Ruru (feminist/photographer)––http://www.nylon.jp/blog/maria/?p=6521
Erika(buyer)—http://www.nylon.jp/blog/maria/?p=6654
Cyan.(dancer) — ttp://www.nylon.jp/blog/maria/?p=6955