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LOVE PIECE CLUBxLELO コラボイベント



性について記事を書いているということもあったので、ちょうど良いタイミングで素敵なイベントがあったので参加してきました。海外などあらゆるセックストーイグッズを販売しているLOVE PIECE CLUBが企画した、スウェーデンで作られたラグジュアリートーイブランド”LELO”とのコラボレーションイベントです。ゲストとしてサンフランシスコのセクシュアリティの専門家で作家のMIDORIさんのトークを聞くことができ、日本にはまだあまり知られていない、セックスポジティブという考え方、運動について、サンフランシスコの歴史を通して知ることが出来ました。今回はトーイブランド「LELO」について、そしてセックスポジティブについて、MIDORIさんのトークから紹介しようと思います。




ラグジュアリートーイブランドLELOについて

LELOは、スウェーデンで作られたラグジュアリートーイブランドです。性的であることを肯定的に、自信を持って楽しむためのアイディアを形にしたトーイ。そのデザイン性はシンプルながらも、力強さと気品さがあり、世界が注目するトーイブランドになっています。ヨーロッパに旅行に行くと、デパートのランジェリー売り場でLELOのバイブが販売されていたりして、LELOが女性たちに愛されていることが伝わります。セルフで楽しむアイテムはもちろん、プレイ中にパートナーと同時に刺激楽しむためのものなど、性に対するポジティブな発想がユニークにデザインされているトーイだと思いました。



サンフランシスコとセックスカルチャー

以下MIDORIさん語り↓
MIDORIさん(以下M)「セックスポジティブについて知るために、まず歴史を知ることが大事です。サンフランシスコは、世界でも性に冒険的で、そしてセクシュアルマイノリティに寛容で、性の多様性を意識した、セックスポジティブのカルチャーを率いてきた街です。50年代のサンフランシスコは戦後 自分の人生を再設計する為に移住して来る人が多く、夢の溢れたな町でした。たくさんのアイディアが生まれ、市民権運動が盛んに行われ、資本主義の国でもありました。60年代はいわゆるヒッピーの時代で、ピル(経口避妊薬)が 生まれた時期でもあります。ピルが生まれることによって、性に対する権利を得られた時代です。70年代は市民権運動、ゲイ運動が起き、理想主義の時代でした。ジェンダー関係なくセックスすることが出来た時代だと思います。しかし、80年代になるとHIVが流行してしまいました。sex = dead そういう性に対する暗いイメージがついたのもこの時代です。当時19歳だった私は丁度この時代にサンフランシスコに上京したのですが、この時代はとても美しい場所であるというのにとても暗い雰囲気だったと思います。HIVにかかった患者を人々は恐れ、社会から外されたイメージでした。しかしながら、性に対する不のイメージを私は受け入れることはせずにセックスを楽しもうと決心しました。インターネットが無かったその時代、イベントやクラブをアンダーグラウンドニュースペーパーで探して参加したのを覚えています。私はとても恵まれていて、そういったイベントで一番最初に会った人がキャロルクリーンという人でした。キャロルクリーンはセックスポジティブの代表者で、彼らはセックスをマイナスのイメージではなく、人の権利であるということを信じていました。セックスポジティブを作ることによって希望を生むというポリシーを掲げ、運動していた人たちでした。」



セックスポジティブ=知識を高め、自分を知ること

M「セックスは決められたものではありません。人間の一部です。人間がする行為ではなく、人間の一部です。ですからいろんな知識をもって選択することが必要です。自分の欲望は何が欲しいのか、これは良い、これはダメといったように、個人で決めることができます。そして自分のリミットを知ることが大事です。それを例えばパートナーとお互いに知り、理解し、喜びと気持ちよさを作ります。セックスはポジティブであること。セックスポジティビティの定義です。私たちは自分に素直になる、それだけでなく、素直になるということは簡単なものではないというのを知る必要があります。社会、家族、期待、イメージ、自分でないものを取っていくのはとても難しいことであり、本当の自分で生きるのは毎日の戦いです。自分でないものになるのはとても簡単です。本当の自分に出会うと、自分の明るい箇所暗い箇所がある事がわかります。暗いものは悪いものだと教育されることがありますが、それは自分にとって大事な一部でもあるのです。自分の中には色々なものがあるということ、それを遊びながら知ることができる一つの方法が、セックスだと思います。セックスをするときに少しずつやってみると、自分にあうものは一人のパートナーかもしれないし複数のパートナーかもしれないし、自分の欲望をわかって、それを伝えてお互いの欲望を知る。セックスは自分とパートナーを喜びと快楽を作ることできますし、自分の力を探ることもできます。
日本の性教育
M「日本の性に対する教育はとても偏っていると思います。私は小さいころ日本で暮らしていいましたが、学校の性教育は手塚治虫の映画を見ただけだといいます。」
私の記憶でも、ひとつのビデオを見ただけで、主に生理と射精の原理だけで、人がどうやって生まれてくるのか(そのメカニズム、避妊について、性病について)という教育は記憶にありません。友人であるルルとも話したことがあるのですが、性病について、コンドームを付けることについての日本人の知識や考え方は少し偏りがあるのではないかと思います。



トーイについて
M「SM業界ではセックストーイといいます。キーワードは『トーイ』です。幼い時オモチャを簡単に求めますが、大人は求めることが難しいイメージがありますね。しかしながら、三つ子の魂百までというように、大人でも気軽に楽しめる事が「トーイ」の役割だと思います。トーイに対してアブノーマルなイメージを持つ人もいますし、俺がいるからいいじゃないか、なんて言う人もいますが、それ以前に人は道具を使う事(作ること)で、成長し、暮らしを豊かにしてきたのを思い出してください。何故セックスに対して道具を使うことが普通ではないというのでしょうか。トーイはこれはテクノロジーであり進化でもあると思います。自分にあったセックスの方法を見つけることが大事だと思います。」
補足でトーイの歴史の映画「ヒステリア」を紹介していました。
(電動バイブはヒステリック患者の治療法として、医療的に使われていたとのこと)





その他トークイベントを聞きに来た人からの質問

Q:日本人は例えばナンパといったことに対して断るとき、ノーを言わない人が多いです。というのも、はっきりとノーの言うと逆に危ないのではないかという考え方があるからなのではと思っています。

M「それはまるで男性のことをベビーシッターが子供が泣かないようにしているように見えますね。私は自分の感情に責任を取るべきだと思います。ノーと言える力をつければいいと思います。怒ることも権利であり、ノーと言えることはイエスの意味をパワーアップさせることができると思います。」
Q:女性を専門としたトーイ販売サイトを使ったことがあるのですが、パッケージは親にばれないように品名を「衣類」に変えることが出来たり、パッケージを隠すことをサービスとして考えています。

M「パッケージを隠すか隠さないか、それは相手に選ぶ権利があってもいいと思いますね。隠すことでそれがもたらすイメージの与え方もイメージがあると思います。隠すだけの選択しかないのはアンヘルシーなイメージがつくこともあるかもしれませんね」

ちなみに今回コラボしているトーイブランドLELOのPinoというトーイのパッケージはシックな加工をされた箱に実際のシャツをした面白いデザインをしています。エロ!といった卑猥なものも数多くあるトーイですがLELOのように鮮麗されたデザインパッケージがあってもよいかもしれませんね。
以上が今回のトークイベントの内容でした。LELOのトーイはFor Your Pleasure で販売していますので、気になる方はぜひ見てみてください☆
LOVE PICE CLUB:http://www.lovepiececlub.com/
For Your Pleasure:http://www.foryourpleasure.jp

MIDORIさん
セクシュアリティに関する著名な教育者であり、作家。セックスポジティブなセックスショップや大学など、様々な場所で性の専門家として求められている。1980年代のサンフランシスコのセックスポジティブムーヴメントのなかから生まれたスターとして知られ、Dan Sageに「Kinkの超新星!」と名付けられた。この仕事は、人々に対し自己肯定を促し、羞恥心を捨て、正義と受容を知り、本当に親密な人間関係を築くための手助けになることだと考えている。(引用:LOVE PICE CLUBページより)
著書:The Seductive Art of Japanese Bondage, Wild Side Sex, and Master Han’s Daughter.
Classes & Info: www.FHP-inc.com
Rope Dojo 2 day Intensive. : www.RopeDojo.com
ForteFemme Women’s Dominance Intensive : www.ForteFemme.com
Make Hot Play Happen Intensive: www.makehotplayhappen.com
Patreon: www.patreon.com/PlanetMidori
Art & Performance: www.Ranshin.com
Facebook / Twitter / Instagram / Vimeo / YouTube: @PlanetMidori
Support her fight against HIV! She volunteers for AIDS LifeCycle. www.tofighthiv.org/goto/midori



補足でこういう記事を書くとエロいこといってるぜー みたいに捉えられがちなので、なかなか記事の書き方が難しかったりするのですが、時代とともにセックスは、明治頃のアンヘルシーな考え方ではなく、ポジティブな考え方もセックスの在り方として、よりちゃんとした知識とともに捉えなおす必要があるのではないかと思っています。日本の性の文化、そしてそこにおける表現は歴史の変化とともに非常に面白い曲がり方をしているように思えます。個人的に思う事は日本の性のキーワードは「卑猥」というもの。そして、規制(法律的なものではなく世間の目、社会通念による規制観)の激しい明治時代頃以降のこの時代、厭らしさに対する官能美は右にも左にも読み取れます。それは禁止するだけものではなく、ポジティブな考え方で再度見つめなおす必要があるのではないかと思います。


■ interview■

Steph Tsimbourlas (visual artist)—http://www.nylon.jp/blog/maria/?p=8398
angelic milk(music artist)—http://www.nylon.jp/blog/maria/?p=7929
1991downtown(fashion select shop)—http://www.nylon.jp/blog/maria/?p=7862
GRAPE MAGAZINE(independent magazine)—http://www.nylon.jp/blog/maria/?p=7734
EDITORIAL MAGAZINE(independent magazine)—http://www.nylon.jp/blog/maria/?p=7527
RADDLOUNGE(fashion select shop)—http://www.nylon.jp/blog/maria/?p=6645
Ruru (feminist/photographer)––http://www.nylon.jp/blog/maria/?p=6521
Erika(buyer)—http://www.nylon.jp/blog/maria/?p=6654
Cyan.(dancer) — ttp://www.nylon.jp/blog/maria/?p=6955









