CULTURE
この映画を観ることでSNSの意識が変わる『英雄の証明』
『英雄の証明』
|
日々の何気ないやりとりも、世界で何が起きているのかを知るのも、ソーシャルメディア。欠かせない当たり前のツールである一方で、その情報は本当に正しいのか見極める必要もある、自分が発信した情報が思わぬ形で他人に影響を及ぼすこともある。
『英雄の証明』は、ソーシャルメディアの光と闇を描いた映画です。
監督・製作・脚本を手がけるのは、イラン出身のアスガー・ファルハディ監督。聞き慣れない名前かもしれないですが、彼の過去作──『別離』(2011年)はベルリン国際映画祭で3冠に輝き、『セールスマン』(2016年)はカンヌ国際映画祭で男優賞、脚本賞をダブル受賞。また、この2作品で米アカデミー賞外国語映画賞も受賞している、実はすごい監督です。今回ピックアップした『英雄の証明』は、2021年・第74回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞しています。
すごい監督の作品だから観て欲しいというのもありますが、今回のアスガー・ファルハディ監督が取り上げた題材が、ソーシャルメディアであることが大きいのです。
主人公は、借金の返済ができずに投獄中のラヒム。彼の婚約者が偶然拾った鞄のなかに17枚の金貨が入っていたことで、ラヒムの人生は大きく動いていきます。
金貨の入った鞄を拾った、換金しようとした、でも後ろめたさを感じて持ち主を探すことにした、するとその善意がメディアに取り上げられ美談の英雄になった、しかしSNSを介して様々な噂が飛び交って……。SNSから流れてきた情報というのは、その情報の正誤に関係なく瞬く間に広がっていく、良くも悪くも影響を及ぼしていく姿を描いていきます。
この映画を観ることで、SNSとの付き合い方、ソーシャルメディアをどう見るか、何を信じるか、確実に変わるはずです。サスペンスというエンターテインメントのなかに、多くの気づきがある、いま必要な映画だと思うのです。
SNSについて考えさせられる度 |
★★★★★
|
ヒューマンサスペンス度 |
★★★★☆
|
ファルハディ監督への興味度 |
★★★☆☆
|
|
監督・脚本・製作
アスガー・ファルハディ
製作
レクサンドル・マレ=ギィ
共同製作
オリヴィエ・ペール、レミ・ブラー
撮影監督
アリ・ガーズィ
脚本
ガザル・ラシディ
編集
ハイデー・サフィヤリ
出演
ラヒム・ソルタニ:アミル・ジャディディ、バーラム:モーセン・タナバンデ、ファルコンデ:サハル・ゴルデュースト、マリ:マルヤム・シャーダイ、ホセイン:アリレザ・ジャハンディデ、シアヴァシュ:サレー・カリマイ、ナザニン:サリナ・ファルハディ、ラドミラ婦人:フェレシュテ・サドル・アラファイ、ナデアリ:エーサン・グダルズィ、サレヒ:ファッロク・ヌールバクト、サレプール:モハッマド・アガバティ
配給
シンカ
4月1日(金)Bunkamuraル・シネマ、シネスイッチ銀座、新宿シネマカリテにて公開
© 2021 Memento Production - Asghar Farhadi Production - ARTE France Cinema
|
RECOMMEND
NYLONブロガーがウィンターシーズンの旅行プランを提案! What’s Your Holiday #5 DEBY
2012年09月号掲載 ED_LETTER vol.59『100』
人気俳優と美しいサーファー少年の共演『ブレス あの波の向こうへ』
CULTURE NEWS
個性的でキュートな韓国キャンドルをチェックしよう!–韓国HOT NEWS 『COKOREA MANIA』 vol.452
仕事と感情、自分だったらどちらを選ぶ?『けものがいる』
不思議な記憶の先にある温かな感情『花まんま』