来年までの宿題

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炊き出しにて、小学1年生の少年といっしょにお昼ご飯のカレーを食べていた。

 

「僕な、言葉をくっつけるのが好きやねん。

例えばな、楽しみかん!

 

“楽しみ”と、”みかん”がくっついてるねん」

 

 

「楽しみかん!いいね、それわたしも使いたいな」

「いいやろ?お姉ちゃんもなんか言ってみてや」

 

 

「んー、そうだね……あ!おいちいかわ!!どう?」

 

 

「ぎゃはは!おいちいかわ!それもなかなかいいやん」

「このカレー、おいちいかわ!!」

 

 

 

言葉遊びで盛り上がっていると、あっという間に時間が過ぎていった。

 

 

帰ってからは、明日提出する学校の宿題がまだ残っているらしい。わたしも夕方からは塾で授業がある。

意気投合したばかりで名残惜しいけれど、そろそろお開きの時間だ。

 

また会おうねと言ったものの、次にこの場所で会えるとしたら、早くて一年後。

 

「また一年待つわ!帰ったらすぐカレンダーに書くわ!

あとな、来年は全部の日ぃ来るわ!」

 

「やった!ありがとう!で、帰ったら宿題も忘れずにね!

本は何を読んだの?」

 

 

「えっと『浦島太郎』と、『吾輩は猫である』。

なんか、書ける気せーへんなー」

 

 

「へぇ、『吾輩は猫である』読んだんだ!」

「そうやで、知ってるん?」

「知ってるよ!」

 

 

「「わがはいは、ねこである!なまえはまだない!」」

 

 

 

 

配食前、「このカレー、毒とかヤクブツとか入ってないやんな?!」

と念入りに確認していたことはすっかり忘れている様子で、一粒残さずきれいに平らげていたので安心した。

(慎重になるのは素晴らしいことだね)

 

心の動きにしたがっているかのような彼の行いと言葉は、わたしには透明に見えて、なんだか新鮮だった。

 

あなたの立場から、世界がどう見えているのかを教えてもらった気がした。

 

きっと良い感想文が書けるよ。

 

 

出会ったばかりだけど、すでに大切な友だち。

 

 

一年後、またここで会えるようにお互いがんばろうね!

と、ハイタッチを何回もしてお別れした。

 

 

 

 

もしまた会えたなら、彼がびっくりするようなくっつき言葉を披露できるといいな

 

これは来年までの、わたしの楽しみかんな宿題

 

 

 

 

 

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