HOME > It's Work Time vol.01 NYLON JAPAN編集長 戸川貴詞 3/4

お金を稼ぐこと=それだけの
価値のある仕事をしているということ

―先ほど少し中学時代に触れましたが、高校や大学ともう少し社会人に近くなった学生時代はどう過ごしていましたか?

本当にアルバイトしかしていなくて、学校の授業にはもちろんそれなりに出席していたけど、それ以外の7〜8割くらいはずっとアルバイトをしていました。残りの2〜3割は友達と遊びに行ってましたけど。理由は明確ではないけど、とにかく早く稼ぎたいという気持ちが強かった。でもそれは、お金が欲しかったというより早く仕事がしたかったということなんですよね。僕らの時代は大学に行くのが当たり前みたいな風潮だったので一浪して大学には入学しましたが、僕が今受験生くらいの年齢だったら、大学に行っていない可能性は十分あるかなって思います。ただ、僕らの時代から大学の中身もだいぶ変わっていると思うので、そういう意味では一概には言えないですけど、かつてと同じ内容の大学で僕の知っている感覚だったら、別に行く必要性を感じない気がします。

―ではもし大学に行っていなかったとしたらどう過ごしていましたか?

働いていたと思います。その時に何をしていたかはわからないですが、とにかく早く働きたいと思っていましたし。実際には就職活動をして出版社を受けて入社しましたが、そういうことすら考えなかったんじゃないかと思います。それこそ会社を作っていたかもしれないし、海外に行って起業していたかもしれない。

―なぜ“稼ぎたい”という考えになったんですか?

なぜと言われると……。そこに大した理由があったようには思わないですが、ただ無性にそう思っていました。稼ぎたいというのは変な言い方ですが、“お金が欲しい”ということとはちょっと語弊があって、ただただ仕事がしたかったんです。お金を稼ぐことイコール、それだけの価値のある仕事をしているっていうことになるので。これは冗談のようで冗談ではないんですが、高校生の時、同世代のスーパースターがプロ野球選手の清原選手と桑田選手だったんですよ。当時“KKコンビ”と言われたPL学園の高校生でしたが、2人とも1年生の時からとんでもないスーパースターで、今っていろんなジャンルの人達がフィーチャーされていますが、当時は若くして全国的にフィーチャーされる人は将来プロ野球選手になるような甲子園球児くらいしかいなかったので、彼らは目標ではないけど、ずっと見ていました。僕は一浪して大学に入学したけど、彼らは高校を卒業してプロ野球チームに入団した途端、契約金、年棒合わせて数千万とかで。僕が大学を卒業する頃には、彼らはもう年俸1億近く稼いでいて、追いつくのが遠いなあって思っていました。でもそれをできる同世代の人がいるってことは自分にもできると思っていましたから、彼らの年俸には常に注目していましたね(笑)。いつかそれを絶対超えてやるって。当時は世界に目を向けられるだけの視野もなかったので、日本のなかでいえば彼らのことはずっと追っていました。「うわ、もう年俸3億になっちゃった」みたいな(笑)。

―野球選手だとわかりやすいですね(笑)。

そう。自分が年間3億稼ぐにはどうしたらいいんだろうとか真剣に考えていました。漠然と自分は個人プレイヤーではないと思っていて、そうすると自分で会社を立ち上げるしかないと思っていましたね。必死でバイトをしていた理由はわかりませんが、その時の状況でやれるだけのことはやっておきたかったんです。今この仕事をずっとやり続けているのでよく聞かれますが、特にこういうことをやりたいとか、これでやっていこうとかそういうつもりもなくて。飲食でもメーカーでも職種は何でも良かったんです。でもいろんなバイトしていちばん自分にしっくりきたのが出版だったので、そこを目指したというくらいなだけであって、それを最初からやりたいと思ったわけではありませんでした。

―いろんなバイトを経験されていたとのことですが、だいたいどのくらいしていたんですか?

いつも3つくらい掛け持ちしていたので、例えば毎日入っているバイトもあれば、週に2回くらいのものもありましたね。だから3カ月から半年くらいで変えていたかな。でもテレビ局や出版社は3年くらい続けていました。3カ月くらい働いていると、だいたいどんな仕事か見えてくるじゃないですか? なので、嫌で辞めるというよりも他にもやってみたいことがたくさんあるので辞めます、みたいな感じでした。渋谷の通行人を数える調査とかもやりましたね。渋谷駅構内に座ってカチャカチャ数えて、でもあれ、気がつくと寝てしまうんですよ(笑)。起きた時に何分経った? って時間確認して、適当に増やしたりしていました(笑)。

―そんなことしていたんですね! 他にも印象に残っているアルバイトはありますか?

大学2年生の時にやっていたピザーラは、当時ドミノピザが先行して人気が出だしていた頃で、まだビザーラの黎明期でした。地元の横浜・日吉にできたのが、まだ全国で6店舗目か7店舗目とかで。その頃は、今では普通にあるメニューのハーフ&ハーフとかクリスピー生地とかを選択できなかったんですよ。でも自分達が食べる賄いは美味しくしたいので、生地を半分にして薄く伸ばしてクリスピーみたいにしたり、同じ味だと飽きてくるから味を半分とか4分割で変えて作って食べていました。そこでバイト仲間達と「絶対こっちの方がいい!」ってよく話してたんです。そしたら当時の店長が「それいいね、提案する」と言っていて、結果的にその店長が気がついたら会社で出世して、その後ピザーラでも生地が選択できたり味を分けたりできるるようになったので、「絶対俺達のアイデアだよね!」と、バイトの同窓会とかでよく話していました(笑)。

―それはすごいですね!

本当のところはわかりませんけどね(笑)。バイトなのに、しかも大企業なのに配達方法とか配達範囲とか自分達で考えさせてくれて、「これだと効率が悪いからこういう地域の広げ方にしよう」とか、よくみんなで考えてやっていて。今では店舗数もあるから宅配ピザもそこまでいかないと思いますが、当時働いてた店舗で1日の売り上げが100万円超えましたからね。みんなで100万円超えようというのを目標に掲げていて、最初は10万、20万だった売り上げが、どんどんやり方を変えていった末に100万円を超えて喜んだのを覚えています。もう1つも飲食だけど、大学4年生の時にパスタ屋さん、当時はパスタ屋さんという言い方はしませんでしたが、カフェレストランみたいなところで、高校卒業後イタリアで修行してきた友達がコックをしていて、そいつが作るパスタがめちゃくちゃ美味しくて(笑)。そのお店のメニューはまずいナポリタンとかしかなかったので、自分達でメニューを考えて変えたんです。最初1日の売り上げが悪い時は2〜3万くらいだったのが、メニューを変えてから20万くらいに上がったんですよね。オーナーも売り上げが上がればそれでいいみたいなスタンスでしたから、わりと自由にやらせてくれた記憶があります。近くに慶應義塾大学があったので、慶應の大学生に響くようにビラを配ったり定期的に内容を変えたり、そういうことをあれこれ考えていました。今だったらSNSがあるかもしれないですが、女の子の制服を可愛くしようだとか、いろいろ工夫したらすごい人気店になったんですよ。それがある種の成功体験というか、考えて結果が出たから面白かったなっていうのは覚えてますね。

―アルバイトをしている人のなかには「自分はアルバイトだし」っていう感覚の人もいるじゃないですか。そういう感覚ではなく、一社員として自分のアイデアを積極的に発信していたんですね。

アルバイトだからっていう感覚はなかったですね。アイデアもそうですが、とにかくこの人何してる人なんだろうってよく思ってました。学生時代なんて世のなかの人が何をして働いているのかなんてわからないじゃないですか。でもそういったことがすごく知りたくて、興味が湧いたらすぐやってみるみたいな感じでした。さっき話した渋谷の調査員も「カチャカチャ何やってるんだろうこの人?」と思って、どこだったか忘れましたが、カチャカチャやっているその人に「これってアルバイトなんですか?」って聞いたんですよ(笑)。「これってどこに応募すればいいんですか?」って聞いたら「じゃあここに電話すればいいよ」と教えてくれて、それで渋谷駅のJRから銀座線に行くところとかでよくやっていましたね。“右から出て来る20代女性”などの担当があって、何時から何時、何曜日に何人みたいな感じで通行人を調査していく。そういうことをしているうちに今度興味が湧いたのは、これって数えた通行人を調査して何のために使うんだろうと。あのバイトすごく時給が良かったんですよ! 24時間やるなかで3時間やって3時間休むみたいな交代制で、その3時間は遊びに行ってもバスで仮眠してもいい。それだけで3万円近く貰えたんですよね。でも何のためにそんなにお金を出してやっているのか不思議に思いますよね。だから現場を仕切っている人に「これ、何に使うんですか?」と聞いてみたら、「俺もわからない」って(笑)。

―わからない!?

結局その人は、そこを仕切ることを頼まれてやっているだけの人だから。その人はそのデータが何に使われているかなんてわからないんですよ。ということは、その裏にもっと巨大な組織があるということがわかって、そこの会社の上の人が来た時に同じ質問をしたら、「東急やJRがそのデータを使って人の流れを研究して、ここにこういうお店を置いた方がいい、とかいろんな使い道があるんだよ」みたいなことを言っていて。カチャカチャやっているだけの自分達に3万円をくれるようなら、それって相当儲かっているんだなと思って。これは一つの例え話ですけど。

―それってすごく面白いですね。

結局ピザーラだって、最終的にはマーケティングを活用してデータ商売してるわけで。マーケティングであって。もちろんベースはピザを売ることですが、宅配をしていると人の家とか、その人の特性までわかってくるんですよ。アンケート調査をしていたり、当時はアナログでやっていましたが。それで20代男性、学生、社会人……など全部データになって蓄積されていきますよね。どういう目的で買うのか何が好きなのかなど、それがデータになってまた違う事業に使ってみたいな。それはピザ屋に限った話ではなくて、全ての企業に通じて言えることだと思います。

Takashi Togawa/戸川貴詞

1967年生まれ、長崎県出身。明治学院大学卒。

2001年にカエルム有限会社(現・株式会社)を設立し、2004年に『NYLON JAPAN』創刊。

現在、同社代表取締役社長、『NYLON JAPAN』編集長、『SHEL’TTER』編集長などを務める。

ILLUSTRATION:PAMELA SUSTAITA

INTERVIEW:KAHO FUKUDA



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