CULTURE
2017.04.15
2010年07月号掲載 ED_LETTER vol.57『CULTURE & TRADITION』
ILLUSTRATOR 紺野 瞳
今年で創刊12周年のNYLON JAPAN。創刊時からずっと続いている人気編集長コラム「letter from the editor」を、毎週金曜日にランダムで公開。編集長コラムと読者の方々からご応募いただいた素敵なイラスト&アートワークを、懐かしの出来事とともにお届けします!
ナイロン ジャパン編集長 戸川貴詞コラム
よく“文化的な”とか“伝統的な”って言葉を耳にしたり口にしたりしてたけど、正直、あんまり深く考えたことなかったかも。先日、京都、奈良と旅行に行ってきた(奈良は中学の修学旅行以来だから28年ぶり!)んだけど、いくつかのお寺、神社を参拝したりしながら、ゆっくりと少しずつ勉強しながら歩いてみた。いやいや、自分の知識と見識のなさに、驚きと恥ずかしさと共になんだか久しぶりにワクワクする気持ちの同居に戸惑いながら、自分が生活してる国のこと、なんにも知らないで随分偉そうなこと言ってたもんだ、とつくづく反省。正味4日間だから、行けるところなんてほんの少しだったけど、それでもたくさんの大切なことを学んだ。CULTURE & TRADITION
ファッション雑誌を作っていても、いったいどれだけのことを自分が学び、理解し、そして読者のみんなの趣向を考え、有益な情報として丁寧に料理して伝えているんだろう、なんて、京都、奈良を歩きながらもずっと考えてたんだけど......。やっぱり、一生、できれば楽しんで勉強だな、と。いろんな文化や伝統を学び、吸収し、見えるものが広く深くなればなるほど、自分ができることの小ささとか、自分の浅はかさとか、自分の弱さとか、いつもはなかなか自覚できないものがたっくさん実感できちゃったりするもんで。
中学生以来の奈良をゆっくりと歩きながら、中学の時に教わった安岡正篤先生の有名な「知識・見識・胆識」の話を思い出した。「知識」とは理解と記憶力の問題で、本を読んだり、話を聞いたりすれば知ることのできること。「知識」は、その人の人格や体験あるいは直感を通じて「見識」となる。「見識」とは、現実のいろんな事態に直面した場合どう対処するかという判断力。そして「胆識」とは、勇気をともなった実行力、とでも言うべきもの。
例えば、「ゴミが落ちていたら拾ってゴミ箱に捨てる」。これは誰でも持ってる「知識」。でも、実際にゴミが落ちている近くにいても「ゴミが落ちている」と気付く「見識」のある人は少ない。で、さらに気付いた後に「ゴミを拾ってゴミ箱に捨てる」という行動ができる「胆識」のある人は、もっと少ない。たかがゴミひとつとっても、世の中こんなもの。だからやっぱり、自分の大きさを真摯に見つめながら、できるだけたくさん勉強しなきゃな、と。
そんなこんなを考えながら、“文化”や“伝統”をもっと理解し、そして後に“伝える”ということの尊さに触れることのできた、ちょっとした素敵な休日でした。
ナイロン ジャパン編集長 戸川貴詞
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