CULTURE
新垣結衣の演じる槙生のセリフが突き刺さる『違国日記』
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『違国日記』
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人生、いつ何が起きるかなんて分からなくて、ある日突然に大切な人との別れが訪れてしまうことだってあります。
ヤマシタトモコの同名漫画の映画化となる『違国日記』は、家族とは何か、どういう関係性なのかを問いかけながらも、家族とはこういうもの、姉妹とはこうあるべき、そんな概念を「決してそんなことないのだよ」と心地よく解き放ってくれるのです。
主人公は、人見知りの小説家・槙生(新垣結衣)。彼女は姉のことが大嫌いでしたが、姉夫婦が事故で亡くなってしまい、残された姪・朝(早瀬憩)と暮らすことになります。
たとえば、『幸せのレシピ』(オリジナルは『マーサの幸せレシピ』)も姪を引き取る設定ですし、『海街diary』や『シスター 夏のわかれ道』は疎遠だった姉妹・姉弟が一緒に暮らすことになる話、『かぞくはじめました』は第一印象が最悪だった男女が共通の知人の子供を育てることになる。似たような設定の映画はあります。
けれど、似ているようで似ていない。『違国日記』では、ほとんど会ったことのない叔母と姪がひとつ屋根の下で暮らすなかで互いを知っていきます。
「あなたを愛せるかどうかはわからない。でもわたしは、決してあなたを踏みにじらない」
これは、物語が始まって早々に槙生が朝に、一緒に暮らすことを提案するときの槙生のセリフです。このひと言で、ああこの物語は家族とか親戚とかの括りを飛び越えて何かを伝えようとしているのだと感じる。人と人との関係性を少しユニークな角度から捉えている、それがとてもいいのです。
日本人は特に、世間的には「こうだから」、普通は「こうだから」と自ら型にはめてしまう人が多いような気がします。だからこそ、朝の真っ直ぐな問いかけと槙生の正直な言動が、こうあるべきでなくてもいいのだと、人それぞれなのだと、ほっとさせてくれる。
槙生と朝をとおして観る人も肯定してくれる、そんなあたたかな気持ちにつつまれる映画です。
| セリフが突き刺さる度 |
★★★★★
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| 新垣結衣の新境地度 |
★★★★☆
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| 原作漫画も読みたい度 |
★★★★☆
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監督・脚本
瀬田なつき
出演
新垣結衣
早瀬憩
夏帆
瀬戸康史
配給
東京テアトル ショウゲート
6月7日(金)より全国ロードショー
Ⓒ2024 ヤマシタトモコ・祥伝社/「違国日記」製作委員会
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