HOME > It's Work Time vol.6 makeup artist Rika Matsui 松井里加 3/4

大切なのはモデル自身が輝いて見えること
メイクアーティストの主張が出ないように

-独立した後の1〜2年はどういった仕事が多かったですか?

念願の事務所には入ったのですが、ビザの取得がいちばんの目的だったのでとにかく事務所から来た仕事をこなす日々でした。ファッションの仕事がしたかったのですが、自分に来た仕事はライフスタイルマガジンみたいな撮影が多くて。これでは私の目的は違うと思いながらも、仕事があることがありがたかったです。

-NY滞在中と帰国後、仕事やメイクに対する意識にどのような変化がありましたか?

NYは特に他の人と違うことをやって、人とは違うアイデアでクリエイティヴな面で抜きん出ようという気持ちがすごくありました。アイデアひとつで1発当ててやろうじゃないですけど、奇抜なメイクをやっていました。でも日本に帰ってくるともっとその人に似合う、その人らしさを活かしたいと思うようになって、改めて考えるとすごく変わりましたね。

シューティング中にカメラマンに撮影していただいたもの。

-日本とNYのメイクシーンに違いは感じましたか?

NYでは人種のるつぼで本当に人それぞれですね。私は私で自分の意見をはっきり持っていて自分はこうだとはっきり言える。それがメイクにも反映されている感じです。対して日本は周りを気にして皆で流行に向かっていくというか……そういった違いは面白いなと感じます。

-NYLON JAPANとのクリエイションはいかがですか?

NYLON JAPANは許容範囲が広くて、エネルギーがあって素晴らしいです。キャスティングされるモデルも個性的で、ダイバーシティがあると感じます。撮影の時に「モデルの子がもう少し細くてもよかったね」と言ったら、その時エディターさんが「NYLONは企画に合わせてキャスティングしているから、あえてそうじゃない子を選んでいるのかもしれません」と言われて、本当にそうだなと思い直しました。確かにその子がそれで綺麗だったらそのままでいいし、これからはそうあるべきだと思いましたね。思えばNYもそんな撮影が多かったです。

-トレンドメイクの情報源はやはりパリコレから?

そうですね。プレタポルテからオートクチュール、メンズコレクションまでいつも見逃さずにチェックしています。

-毎回メイクの案を出していただく時に新しいメイクばかりで感心しています。

コレクションも多いですが、海外誌を見ていいなと思ったものも参考にしているので、そこからどうNYLONらしく落とし込むとか、ブランドにも喜んでもらえるメイクをエディターさんと一緒になって考えるのは楽しいですよね。NYLONのビューティページを見て、ストリート×モードメイクで新しい面白さを取り入れてみたいって感じてもらえたらと思っています。

-メイクをする際に重視しているところは?

たとえ強いメイクを施していても、その人の骨格にハマるところがあるんです。その人がそのメイクでずっと生きている人だと思わせられるくらい、ハマるところをしっかり探していきます。

-それは派手なカラーメイクでも、素肌感のあるヌーディメイクであっても共通して?

大切にしているのはモデル自身が輝いて見えること。その写真を見て「メイクさん頑張ってるね」と思わせないように、メイクアーティストの主張が出すぎないように、モデル自身が輝けるように心がけています。ベースメイクでもあってもその人の肌の色に合っているかということは重要で、その人の肌そのものに見えないといけない。どんなに強いメイクでも自然に見えることが大切だと思いますね。

-10月号のビューティページでやっていただいた発光マットのメイクには感動しました! 発光マットってこういうことなんだと編集部でも話題に。

ありがとうございます。ファンデーションの質感の進化には驚くものがありますよね。

-骨格を重視されるようになったのはNY時代ですか?

そうですね。日本のメイクは好きなように色をのせていく水彩画のような面白さがありますが、海外は骨を強調していくメイクなので、そこをNYで学べて良かったと思っています。

-コスメブランドのルックも手掛けていらっしゃいますよね。多くの人が目にするルック撮影でのメイクにはどういったことを心がけていますか?

ちょっとトレンド性を入れることがまず大事です。ブランド広告のメイクをやる時も、少しの新しさと、トレンドを入れる。でもあまりかけ離れてもダメで、ちょっと手を伸ばせそう、背伸びしてやってみたい、この美しさに憧れたいと思ってもらえるメイクになるといいですね。

メイクショーでのバックステージ

-プライベートでも常にメイクのことは頭にありますか?

もうずっとです。異常なくらい(笑)。他のメイクさんや私のアシスタントを卒業した人達を集めたワークショップをやっていて、それが日々のライフワークでもあります。

-ワークショップでは具体的にどんなことをされているんですか?

新製品もたくさんあるのでそれらを実際に使う前の練習もしますし、テーマを決めて相モデルでメイクして発表して意見交換したり、コレクションで良かったメイクを研究したりしています。

-研究の日々ですね。

はい、そうなんです。でもそれが私のメイクの根幹になっていると思います。やはりいつも練習していないと現場ではすぐにできないです。パリコレだって常に新しい技術を取り入れて進化しているので、自分も変わっていかなくてはいけない。製品もどんどん新しいものに変わっていくので、自分の技術も向上させなくてはいけないと思っています。

Rika Matsui/松井里加

2000年よりNYを拠点にミラノやパリでメイクアップを行い、2006年帰国。国内外のファッション誌のみならず、ビューティ誌でもそのハイエンドなクリエイションを提案。化粧品のアドバイザーやコンサルタントとしても活躍する。多くの海外セレブのメイクも。

Instagram @rikamatsui26

ILLUSTRATION: RURU

INTERVIEW: KAHO FUKUDA

WEB DESIGN: AZUSA TSUBOTA

CODING: JUN OKUZAWA

 



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