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CULTURE

2019.04.29

It's Work Time vol.01 NYLON JAPAN編集長 戸川貴詞

夢を追いかける全ての人へ発信するお仕事連載

世の中の流れに身を任せ、何を目指したいかわからないまま就職活動————。

“普通” “常識”なんて誰が決めたの?

社会に疑問を抱き、夢を追い続ける全ての人へ贈る、お仕事連載がスタート。

記念すべき初回は我らがNYLON JAPAN編集長、戸川貴詞。

NYLON.JPではインタビューの全貌を公開。

これまでの経歴や、学生時代の過ごし方、
ビジネスに対しての思いを熱く語ってもらった。

NYLON.JPでは
インタビューの全貌を掲載。
インタビュー前半は
NYLON JAPAN 6月号にも
掲載しているよ。

ターニングポイントは中学2年生
物事を俯瞰して見るようになった

―まず、経歴を教えてください。

大学卒業後、日之出出版という出版社に入社して、広告営業と3つの雑誌の編集を経験しました。その後、独立したい気持ちが強かったので勉強のために転職して、そこでまた広告営業と、新しい科学雑誌の立ち上げで、初めて編集長という役職を経験させていただきました。それを経てこの会社をつくって、『DAZED & CONFUSED(デイズド&コンフューズド)』っていうロンドンのファッション&カルチャー誌とライセンス契約をして日本版を立ち上げ、社長兼編集長を務め、その1年半後くらいにニューヨークのNYLONとライセンス契約をして、今NYLON JAPANの編集長をしているという流れです。

―会社をつくったのはいつですか?

今から約18年前の、2001年12月10日創業。プレ号は別とすると、NYLON JAPANの創刊は2004年4月です。立ち上げ当初は現場のこともたくさんやっていましたし、今に比べてスタッフの数も少なかったので、自分で企画ページを持ってたくさんやっていましたし、営業しながら編集しながら社長業をこなしながらという感じでした。その後何年か経ってからは、ほとんど現場のスタッフが企画を考えて、僕の仕事はほぼ承認作業だと思います。あとは、営業とか広報的な動きが編集長としての仕事の大半ですね。

―そんななか、人生のターニングポイントはありましたか?

社会人になってからだとここっていうタイミングが思い浮かびませんが、そうでなくてもいいのであれば間違いなく中学2年生だと思います。

―それはなぜですか?

もともと長崎で生まれ育って、小学校の終わりくらいに横浜に転校して、中学生の時は校内暴力の全盛期で学校内が荒れ果ててたんです(笑)。やっぱり都会に転校してきてから、どこかまわりに遠慮している自分がいて。ただ、自分はヤンキーではなかったけれど、学校が荒れていたことで、物事を俯瞰して見るようになりましたね。より厳密に言うと中2の終わりくらいですが、もう自分は自分の考えで行動しようって強く思ったんです。それで、よくある子供の趣味程度でしたが、サーフィンをしたり音楽を始めたり。でも、そういうことを始めるようになって自分の世界が急に広がっていったんです。どうしても学校にいると同世代と同じ目線でしかものを見れませんでしたが、そういういつもと違う場所に行くと大学生や大人の人達からの話が聞けるので、自分は今までなんて小さな世界をずっと見てたんだろうって思ったことが、すごく記憶に残っていて。学校が嫌いだったわけではないんですが、こっちの世界の方が楽しくて「学校が楽しい!」っていう感情は完全になくなっていきました。その時から自分を俯瞰で見るようになって、人と比較しなくなったという感じです。今51歳になりますが、この14〜15歳くらいの時と考え方は正直全く変わってない(笑)。他人に対して興味がないわけではないですが、どっちにしろ人がやっていることを自分がやれるはずないですし、みんなが面白いと思っていることを自分が面白いと思うわけでもない。その辺がパーっとひらけた感覚を覚えています。そのおかげで、自分に起こることに対してあまり悩まなくなりましたね。

―この時にいちばん影響されたものはありましたか?

特に……。本当に唯一言うとしたら忌野清志郎さんです。もうそれしかないですね。

―なぜ忌野清志郎さんなんですか?

ただ好きだったんです。スタイルとか考え方とか、清志郎が僕のバイブルでした。好きなアーティストはたくさんいましたが、そのなかでもとにかく好きでしたね。好きっていうのを超えていたくらい。

―清志郎さんがきっかけで自分のなかで何か変化したものはありましたか?

あったかどうかはわかりませんが、内に秘めるものとして、大人になってもこんな風に発信しているのはいいなと思いました。かといってそれを真似したいとは思いませんでしたが、感心していたんです。もちろん、大人になってから日々刺激を受けるものはたくさんありますし、いろんなものから影響を受けているとは思いますが、これかもっていう絶対的なものは大人になってからはないですね。特に目標にしたものもないですし、さっきの話と同じですが、その頃に毎日RCサクセション(忌野清志郎がヴォーカルを務めるバンド)を聴いていたというだけで。それをなぜ聴いていたか? と問われたら困りますが(笑)。

―そうだったんですね。では、学生時代を含め今まで苦悩や失敗はありましたか?

悩み……、そんなに苦悩をしたことがないかもしれません(笑)。毎日ずっと小さな失敗を繰り返していますし、そういう意味でいったら、15分間悩んだり、ずっとそういうことの繰り返しだと思います。大きな失敗があって、それに対して1年間悩み続けていました、というようなことはないですし、その時々に小さなものを自分のなかで処理していくという感じです。例えば、この会社を設立してからいきなり全てが上手く回るわけではなく、そういう時にいろんな意味で大変な思いをたくさん経験しましたが、それは想定内なので。極論、会社が倒産したって生きていけますから。だから、苦悩や失敗というキーワードにピタッと当てはまる感じのものは特にないですね。

―小さな悩みはどう解決しているんですか?

時間しかないですね。それが唯一の解決策だと思います。悩みって自分の気持ちの問題じゃないですか? 起きてしまったことは自分では変えられないので、それに対して凹んだところでどうしようもない。自分の悩みは自分で解決するしかないので、全ては気持ちの持ちようだと思っています。

―悩みを持ち越さないことが秘訣ですか?

どうしようもないことに対して悩んでいてもしょうがないので。そもそもそんな暇はないというのもあるかもしれないです。結局幅広くいろんなことを進めようとすると、同じスピードでいろんな失敗が繰り返されるので、それに悩んでいるようじゃ次には進めないですよね。やらなければいけないことがどんどん舞い込むので、悩みは自分の気持ちを処理していくだけの作業になるんです。作業っていうと極端かもしれませんが、本当に時間が重要だと思っています。

―なるほど。ではご自身のワークスタイルについて教えてください。

寝ている時間以外はずっと働いています。働いていない時間っていうのはきっと1分たりともないですね。頭のなかを100%として考えると、仕事のことを考えている割合が10%くらいな状況も100%な状況も、もちろんあります。仕事をするコアな時間には80〜100%仕事のことを考えていますが、それ以外の時間でも考えていない時は寝ている時以外全くない。言い換えれば、そんなに仕事以外のことは考えてないです。仕事のことを考えている、という感覚ではないですが、結果的にずっと仕事のことを考えている、それが自分のワークスタイルですかね(笑)。

―数々のスケジュールはどうこなしていますか?

基本的に諦めています(笑)。あとは固執しないこと。

―なぜこの2つなんですか?

できないものはできないと割り切っています。起きている時間では絶対に処理できないっていうこともわかっているので。でもそれよりも早くやりたいことというか、やらなくてはいけないことや、やろうとすることが毎日山ほど出てくるんです。でもそれは毎日できるわけではないので、人生は全てトレードオフというか、何かを取ったら何かを諦めなくてないけないということの繰り返しだと思っています。ただ、諦めたものが必要なタイミングで必ずまた戻ってくるので、今はタイミングじゃないんだなと思うようにしています。結局仕事って自分1人ではできないですし、自分のためにやることだとは思っていないので、割り切るというか今は必要ないって思うようにしています。

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Takashi Togawa/戸川貴詞

1967年生まれ、長崎県出身。明治学院大学卒。

2001年にカエルム有限会社(現・株式会社)を設立し、2004年に『NYLON JAPAN』創刊。

現在、同社代表取締役社長、『NYLON JAPAN』編集長、『SHEL’TTER』編集長などを務める。

ILLUSTRATION:PAMELA SUSTAITA

INTERVIEW:KAHO FUKUDA











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