CULTURE
コンビニという日常が問いかけるホラー『チルド』
|
『チルド』
|
|
日本独自に進化したコンビニという空間に、現代社会が抱える闇が凝縮されている——。
映画『チルド』の舞台は、都内の某コンビニ「エニーマート倉冨町7丁目店」。ある日、店の秩序を揺るがす出来事が起こり、現実なのか、それとも悪夢なのか、その判別がつかなくなっていく、そんな身近な恐怖を体験します。
監督・脚本は、本作が長編デビューとなる岩崎裕介。第76回ベルリン国際映画批評家連盟(FIPRESCI)賞を受賞。
岩崎監督はコンビニという場所について、「現実から完全に逸脱した異空間であり、人も物も、ただシステムの中で交換され続けるだけの場所。本作はその無機質さを極限まで純化し、恐怖へと転化する。それは外部から侵入する異物ではなく、“すでにそこにある構造”そのものが孕む恐怖である。」と語っています。
私たちが日常的に利用する場所だからこそ、その風景を少し違った角度から見つめることで、見過ごしていた違和感や息苦しさが浮かび上がってきます。
そして、その世界観を支えているのが、俳優たちの演技です。しかもユニークなのは、キャラクターの感情を表現するのではなく、それぞれが置かれた「状態」を演じるという独特のアプローチ。
染谷将太が演じる主人公・堺は、主体性を喪失した現代人を象徴するような傍観者。唐田えりかが演じる小河は、その停滞した世界に違和感を持ち込み、既存の秩序に真っ向から反抗する存在。西村まさ彦が演じるオーナーは、秩序への執着によって狂っていく、構造そのものを象徴するキャラクター。
登場人物を「状態」の擬人化として捉えると、視覚的なホラーだけではない、深層的な恐怖が立ち上がってくる。そこから抜け出すかすかな希望——思考することの意味も提示される。怖いだけでは終わらない。静かに心をざわつかせ、観る者に問いを投げかけるホラーです。
| 恐怖度 |
★★★★☆
|
| 警鐘度 |
★★★☆☆
|
| 希望度 |
★★★☆☆
|
|
監督・脚本
岩崎裕介
出演
染谷将太
唐田えりか
西村まさ彦
くるま
長島竜也
配給
NOTHING NEW
7月17日(金)よりテアトル新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷、ほか全国で公開中
Ⓒ『チルド』製作委員会 (NOTHING NEW・東北新社)
|
RECOMMEND
NYLON × SHOWROOM 2018 モデルオーディション開催!
2012年03月号掲載 ED_LETTER vol.45『my own way』
大人へと成長する二階堂ふみの写真展が12/5(土)より開催
CULTURE NEWS
コンビニという日常が問いかけるホラー『チルド』
NiziUを形づくる特別なディテール
一つのケーキが映し出す、少女の強さ『大統領のケーキ』