CULTURE
絢爛豪華の向こうにあるディストピア『THE END(ジ・エンド)』
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『THE END(ジ・エンド)』
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絵画や美しいインテリアに囲まれた空間、異世界を感じさせる白い地下道、ティルダ・スウィントンやジョージ・マッケイをはじめとする俳優たちの演技、どれも素晴らしい。素晴らしいからこそユートピアに見せかけたディストピアにぞっとする——。極限の世界だからこそ、より人間の本質が際立って映し出されるのです。
『THE END(ジ・エンド)』の舞台は、環境破壊によって地表が居住不可能になった世界。ある裕福な一家(母・父・息子)は、豪華な地下シェルターで数人の仲間と共に隔離生活を送っていましたが、ある日、彼らが住むシェルターにひとりの見知らぬ女性が迷い込み……。
外の世界を知らずに生きてきた息子は、外の世界を知る来訪者の女性に心を奪われ、家族をつなぎとめていた絆がほころび始めます。ユートピアだと思っていた生活には、思い出したくない過去、触れられたくない後悔が渦巻いていて、それが来訪者によって一枚、また一枚と覆っていたベールが剥がされていく。
映画を観ていると、ふとした疑問も浮かびます。彼ら以外の人間はいないのか、どうやって暮らしを維持しているのか。確かに謎な部分は多いのですが、そういった謎をあえて明確にしないことで、そう遠くない未来を描いた“おとぎ話”であることを示している。
そして、おとぎ話の多くに人間の愚かさが描かれているように、この映画にも、富と権力を手にした人間の愚かさが描かれています。ミュージカルという手法も取り入れながら。
エンドロールの後、タイトルの「THE END」に込められた意味を考えるとぞっとすると思います。この現実世界もそこに近づいているような気がしてぞっとしますが、エンタメの中に感じるものがあふれているというのは、いい映画の条件ではないかと思うのです。
| ディストピア度 |
★★★★☆
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| ミュージカル度 |
★★★☆☆
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| 痛烈な風刺度 |
★★★☆☆
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脚本・監督
ジョシュア・オッペンハイマー
脚本
ラスムス・ハイスタ―バーグ
出演
ティルダ・スウィントン
ジョージ・マッケイ
モーゼス・イングラム
ブロナー・ギャラガー
ティム・マッキナリー
レニー・ジェームズ
マイケル・シャノン
配給
スターキャットアルバトロス・フィルム
2025年12月12日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国ロードショー
ⒸFelix Dickinson courtesy NEON
Ⓒcourtesy NEON
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