CULTURE
家族を想いなおす4日間『兄を持ち運べるサイズに』
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『兄を持ち運べるサイズに』
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大嫌いだったのに、散々振り回されたのに、もう関わりたくないと思っていたのに、その人が二度と会えないところに行ってしまって、その人との想い出をたどってみると、でも優しいところもあったよね、ほんとは頑張っていたんだね……と、見えていなかったことが見えてくる。一瞬にして「嫌い」が掻き消されてしまう、ことがあります。
映画『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016/クロックワークス)や『浅田家!』(2020/東宝)で知られる中野量太監督の最新作『兄を持ち運べるサイズに』に、その瞬間が描かれています。それは、ダメな“兄”を持った妹と、兄の元妻と子供たちが、死んでしまった兄の後始末をするために集まり、もういちど家族を想いなおす、4日間を描いた物語。
原作は、村井理子によるノンフィクションエッセイ『兄の終い』。中野監督は、『浅田家!』の後、オリジナル作品を考えていたそうですが、原作のエッセイに監督のやりたいことが詰まっていました。
「僕(中野監督)は、家族を亡くして遺された人がどう生きるかにフォーカスして、人間が一生懸命頑張る滑稽で愛おしい姿を映し出してきましたが、『兄の終い』にはまさにそれがあったのです。兄ちゃんが死んだのに笑っちゃうし、温かい気持ちになっている自分がいました」(プレス資料より抜粋)
『浅田家!』のときに実在する人物を描く楽しさを知ってしまったという中野監督は、原作者の村井理子に取材を行い、実際のエピソードを脚本にどんどん盛り込んでいったそうです。
描きようによっては暗然となってしまうエピソードを、悲しみも愛情も全部ひっくるめた、なんとも言いようのない感情として代弁するのは、妹役の柴咲コウ、兄役のオダギリジョー、元妻役の満島ひかり。なんとも魅力的な座組です。
中でもオダギリジョー。よくよく考えてみたらそれって……と思うような言動を、結果的には愛しく思ってしまう兄として演じている。好きと嫌いのギリギリの境界線を表現する、その個性と繊細さに唸ってしまいます。
どんなに身近な存在であっても、知っていることと知らないことがあるのだと知る、人間という生き物の複雑さと面白さが伝わってくる、とても温かい映画です。
| 泣いちゃう度 |
★★★☆☆
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| 笑っちゃう度 |
★★★☆☆
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| 考えちゃう度 |
★★★★☆
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原作
村井理子『兄の終い』(CEメディアハウス刊)
脚本・監督
中野量太
出演
柴咲コウ
オダギリジョー
満島ひかり
青山姫乃
味元耀大
配給
カルチュア・パブリッシャーズ
2025年11月28日(金)より公開中
Ⓒ2025 「兄を持ち運べるサイズに」製作委員会
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