CULTURE
真実はどこにあるのか?『でっちあげ 〜殺人教師と呼ばれた男』
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『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』
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他人事ではない──。思い込みがどれだけ怖いか、不用意な発言がどれだけ怖いか、そして真実を知ることがどれだけ難しいかを突き付けられる映画です。
主人公は、小学校教諭の薮下誠一(綾野剛)。ある日、悪質な虐めをはたらいていると、児童の母親・氷室律子(柴咲コウ)から学校に抗議があり、その場を収めるため、薮下は体罰を認めて謝罪。その後、週刊誌が取り上げたことで、薮下と家族は世間から誹謗中傷を浴び、真実をめぐり法廷で争うことになります。
この映画は、現実に起こった事件に基づいています。ジャーナリスト・福田ますみ氏による渾身のルポルタージュ「でっちあげ−福岡「殺人教師」事件の真相−」を核にしたエンターテインメントなので、どんな事件だったのか、その内容や結末を知ろうと思えば知ることはできます。
しかしながら、たとえ知ったうえで映画を観ても、映画の冒頭で描かれること、投げかけられる疑問によって──薮下は、本当に生徒にあんなことをしたのだろうか? と疑いが生まれる。巧みに印象操作されることで、真実はどこにあるのか、映画の展開と一緒に真実を探す旅に出るのです。
ひとつの出来事を多方面から描く、視点を変えて描く、この人からはこう見えていたというように観客を惑わしながら真実に近づいていく手法はこれまでにもありましたし、珍しい手法ではありません。
ただ、時代は移り変わり、今は誰もが簡単に情報を発信できるようになりました。真相がどうであっても、最初に発信した情報に少なからず人々は踊らされてしまう、そんな危険な時代を私たちは生きている。だからこそ、流れてくる情報を鵜呑みにするのではなく、見極める目を養わなくてはならなくて……。
映画『でっちあげ 〜殺人教師と呼ばれた男』で、薮下に降りかかる出来事は、決して他人事ではない──。誰もが、でっちあげ(捏造)の被害者にも加害者にもなりうる可能性があることを“知る”映画です。
| 問題提起度 |
★★★★★
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| エンタメ度 |
★★★☆☆
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| 驚きの真実度 |
★★★★★
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原作
福田ますみ『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』(新潮文庫刊)
監督
三池崇史
脚本
森ハヤシ
出演
綾野剛
柴咲コウ
亀梨和也
大倉孝二
小澤征悦
髙嶋政宏
迫田孝也
安藤玉恵
美村里江
峯村リエ
東野絢香
飯田基祐
三浦綺羅
木村文乃
光石研
北村一輝
小林薫
配給
東映
2025年6月27日(金)より全国公開
Ⓒ2007 福田ますみ/新潮社
Ⓒ2025「でっちあげ」製作委員会
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