CULTURE
贖罪とは何かを問いかける『ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー』
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『ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー』
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現在、メゾン・マルジェラのクリエイティブ・ディレクター(2014年〜)として活躍するジョン・ガリアーノ。「革新的」「天才」「至宝」など彼の類い稀なる才能を表現する言葉はたくさんありますが、それらを打ち消し転落させた事件が2011年に起きました。
カフェで隣同士になった見ず知らずのカップルに反ユダヤ主義的暴言を吐きヘイトクライムで有罪となり、当時任されていたクリスチャン・ディオールと自身の名を冠したブランドから解雇され、レジオン・ドヌール勲章も剥奪され、すべてを失くしたのです。
「ジョン・ガリアーノがヘイトクライムで有罪に──」という衝撃的事件を入口に、なぜ事件は起きてしまったのか、彼自身の言葉で過去を振り返りながら、ジョン・ガリアーノというデザイナーがいかにして世界に羽ばたくことになるのか、その半生も映し出していきます。
デザイナーのドキュメンタリーというと、制作風景や苦悩、次々とやって来るコレクションの裏側、華やかでスキャンダルな一面などを想像すると思います。この映画にももちろんそれらは組み込まれていますが、数あるデザイナーのドキュメンタリーと異なるのは「贖罪」とは何かをテーマにしていること。それがケヴィン・マクドナルド監督の狙いでもあるのです。
「私たちの社会は、贖罪という考えと常に進化し続けている。私は、社会的に許されないことをしたときに何が起こるのか、どうやって許しと贖罪を見つけるのか、というドキュメンタリーを作ることに興味があった」というのはマクドナルド監督の言葉です。
ジョン・ガリアーノが生み出してきた作品を、年代を追って見ることができる、ガリアーノの歴史を凝縮したとても貴重なドキュメンタリーでありながらも「身心の崩壊」「キャンセルカルチャー」「ファッション界の闇」そして「贖罪」について問いかけてくる。美しいファッション映画にとどまらない、実に奥深いドキュメンタリーなのです。
| 本人の語りと多方面から集めた証言の多さ度 |
★★★★☆
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| 彼のどのファッションショーも圧巻度 |
★★★★★
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| アベル・ガンス監督の『ナポレオン』引用度 |
★★★☆☆
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監督・プロデューサー
ケヴィン・マクドナルド
出演
ジョン・ガリアーノ
ケイト・モス
シドニー・トレダノ
ナオミ・キャンベル
ペネロペ・クルス
シャーリーズ・セロン
アナ・ウィンター
エドワード・エニンフル
ベルナール・アルノー
配給
キノフィルムズ
9月20日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかロードショー
Ⓒ2023 KGB Films JG Ltd
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