CULTURE
実はサスペンスでスリラーな映画!『ドント・ウォーリー・ダーリン』
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『ドント・ウォーリー・ダーリン』
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『ドント・ウォーリー・ダーリン』は、一見、幸せそうな夫婦を描いたラブストーリーに見えますが、実は、サイコサスペンスであり、ユートピアスリラーです。物語のなかに何か驚くべきことが隠されている?それは怖いことかもしれない?サスペンスとスリラーを意識して観ると、映し出される映像や描かれる人間関係を“疑う”という目線が加わり、受け身の鑑賞ではなくなる。より面白い視点で観ることができます。
どんなジャンルの映画であるかを意識するだけでOK、事前に“あらすじ”を知っておく必要はないのですが、ちょっとだけ触れておきますね。
〈ビクトリー〉という街は、完璧な生活が保証された街です。主人公のアリスは、愛する夫ジャックと平穏な日々を送っていましたが、彼女の周りで不気味な出来事が起きるようになり、街に疑問を持ち始め……。
絵に描いたような理想の生活、最初は羨ましいと思うかもしれないですが、妻は専業主婦でなければならない、パーティーには夫婦で参加しなければならない、夫の仕事内容を聞いてはいけない、街から勝手に出てはいけない、○○でなければならない、○○してはいけない、というルールがある。理想の生活に見えますが、選択肢がないんですね。しかも女性はこうあるべき、という凝り固まったジェンダーロールも描かれている。そこから感じるのは、人生は選択があるから面白く、誰かが決めた(支配する)幸せを、幸せとは言わないということです。
この映画を観終わったとき、多くの女性が解放感を受け取ると同時に驚きと怒りも感じるはずです。でも、その怒りのなかには、自分の幸せは自分でつかむ、女性の幸せはこうだと決めつけないで、という自由の大切さも伝えるメッセージもある。目覚めよ女性たち、羽ばたけ女性たち──抑圧からの解放を強く感じました。
それはやはり、この作品の監督が女性であることも大きい。『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』で監督デビューを飾った俳優のオリビア・ワイルドが、今回は監督・製作・出演もしています。女性の活躍を特別に取り上げることは、できればしたくはないですが、まだまだ性差のある世界では“女性”というキーワードを取り上げる必要がある。この映画を女性監督が撮った意味は、とても大きいと思うのです。
| 解放度 |
★★★★☆
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| 衝撃度 |
★★★★☆
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| 謎めき度 |
★★★★★
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監督
オリビア・ワイルド
脚本
ケイティ・シルバーマン
出演
フローレンス・ピュー
ハリー・スタイルズ
オリビア・ワイルド
ジェンマ・チャン
キキ・レイン
ニック・クロール
クリス・パイン
配給 ワーナー・ブラザース映画
11月11日(金)日本公開
ⓒ2022 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved
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