CULTURE
この不気味さと可愛さ、どう受け止める?『LAMB/ラム』
『LAMB/ラム』
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羊のかわいさに誘われて、うっかり観てしまったら……まちがいなく驚きます。そうとう驚きます。
主人公は、アイスランドの人里離れた山間部に住む羊飼いの夫婦イングヴァルとマリア。ある日、羊の出産に立ち会うと、生まれてきたのは、羊ではない“何か=禁断(タブー)”でした。ふつうなら、羊ではない“何か”に対して、怯えたり、怖がったり、戸惑ったりするものですが、彼らは、なんと、自分たちの娘として育てることにするのです。亡くなった娘と同じアダという名前をつけて……。
羊ではない“何か”がどんな存在なのか、その全貌が明らかになるのは、物語が少し進んでからです。予告映像にぼんやりと映し出されているので、もしかして?と想像するものの、その姿がはっきり映し出されると、やはり驚きます。
アイスランドの自然を舞台に羊飼いの夫婦の現実的なストーリーのなかに、羊ではない“何か”という非現実的な存在がそこにいる。しかも当然のことのように、何の違和感もないかのように、存在している。だから、もの凄く不気味。
映画というのは、ときに信じられないような出来事が描かれ、それを受け入れられるかどうかで、自分にとって、その映画が面白いものとなるかどうかが決まることもあります。今回の『LAMB/ラム』は、まさにそういう映画であり、イングヴァルとマリアが受け入れたように、目の前に起きたことを肯定してみると、この映画が何を伝えようとしているのか、たどり着くと思うのです。
そして、何とも不思議で何とも不気味であるのに、愛おしくも感じてしまうスリラーを生み出したのは、北欧の新たな才能ヴァルディミール・ヨハンソン監督。この映画を理解するヒントになる、愛と喪失についてこう語っています。
「私にとって今作は、第一に壮絶な喪失感を描いた映像詩であり、喜びや幸福感を取り戻すためなら、どんなことでもしてしまう主人公を描きました。喪失感と悲しみを克服できないでいる罪悪感と自責の念が混在しています。そのため、イングヴァルとマリアは少しの間しか続かないとわかっていても、生活のバランスと喜びを取り戻すために、何かに屈服しようとします」
今後、目を離せない監督になりそうですが、それにしても、『LAMB/ラム』が長編デビューとは、末恐ろしい!
不気味度 |
★★★★☆
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スリラー度 |
★★★☆☆
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かわいさ度 |
★★★★☆
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監督
ヴァルディミール・ヨハンソン
脚本
ショーン、ヴァルディミール・ヨハンソン
出演
ノオミ・ラパス
ヒルミル・スナイル・グズナソン
ビョルン・フリーヌル・ハラルドソン
配給
クロックワークス
9月23日(金・祝))全国ロードショー
ⓒ 2021 GO TO SHEEP, BLACK SPARK FILM &TV, MADANTS, FILM I VAST, CHIMNEY, RABBIT HOLE ALICJA GRAWON-JAKSIK, HELGI JÓHANNSSON
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