CULTURE
ワンショットの驚異を体験する!『ボイリング・ポイント/沸騰』
『ボイリング・ポイント/沸騰』
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90分間、全編ワンショットで撮った映画って、それだけで観たくなりませんか。『ボイリング・ポイント/沸騰』は、ロンドンの人気高級レストランでの出来事を、編集なし、CGなし、“ワンショット”で映し出した映画です。
この映画を観て思ったのは、ニューヨークのレストランで繰り広げられるクライム群像劇『ディナーラッシュ』のドタバタ感と、ワンショットに見える撮影方法で話題になった『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』に類似する臨場感です。それらを同時に味わえる『ボイリング・ポイント/沸騰』は、なかなかお目にかかれない映画なのではないかと。
おそらく多くの人が、本当にワンショットなの?と疑問を持つでしょう。けれど、映画が始まってすぐに、まるで自分がそのレストランを訪れて、90分間そこに居たかのような感覚になるはずです。
ワンショットで撮影したというのも、もちろん凄いのですが、そのなかに、イギリス国内のレストランにおいてシェフやスタッフが日頃抱えているストレスを随所に盛り込んでいることも、この映画が奥深い点です。というのも、フィリップ・バランティーニ監督は、12年間シェフとして働いていた経験があり、その時に、厨房で目撃したさまざまことを映画として表現したいと思ったのが、この映画を撮るきっかけだったそう。
「レストラン業界内で起きている、うつ病、薬物乱用、人種差別、ハラスメント、同性愛嫌悪など、改革を切実に必要としている問題を、映画内では労働者たちに敬意を持って忠実に伝えることができました」と語っているように、社会のなかにある様々な問題がぎゅぎゅっとこの映画のなかに、レストランという空間のなかに、投影されています。
腕利きのシェフだけれど、妻子と別居中で絶不調のアンディ、彼の片腕で給与アップを交渉中のカーリーを中心にした厨房スタッフとホール・フロアのスタッフ、そしてレストランを訪れるお客たち──ワンショットに驚きながら、登場人物それぞれ抱えている問題も炙り出していく。何なの!この衝撃!と感動させられる映画なのです。
臨場感度 |
★★★★★
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熱気度 |
★★★★☆
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衝撃度 |
★★★★☆
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製作・監督・脚本
フィリップ・バランティーニ
出演
スティーヴン・グレアム
ヴィネット・ロビンソン
ジェイソン・フレミング
レイ・パンサキ
タズ・スカイラー
配給
セテラ・インターナショナル
7月15日(金)全国ロードショー
© MMXX Ascendant Films Limited
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