CULTURE
小松菜奈&坂口健太郎が伝える、生きること恋すること『余命10年』
『余命10年』
時間は限りあるもので、決して平等ではない。だから“今”を精一杯生きよう、時間を大切にしよう──。人生や命を題材にした映画は、そんな気づきを届けてくれます。たとえば、『死ぬまでにしたい10のこと』、『17歳のエンディングノート』、『きっと、星のせいじゃない。』……自分の人生の時間を知った主人公たちは、限られたその時間のなかで精一杯生きようとする。そういう映画は、悲しさよりも生きる強さを感じます。
小松菜奈さんと坂口健太郎さんがW主演の映画『余命10年』も生きることを描いた映画です。難病を発症し、余命10年となった茉莉(小松)。生きることに迷い、居場所を見失った和人(坂口)。もともと同級生だった2人は同窓会で再会、ある出来事をきっかけに距離はどんどん近づいていきます。和人は茉莉との出会いによって生きる意味を見出し、彼女への想いも大きくなっていきますが、茉莉は生きることに執着しないために、恋だけはしないと決めていて……。2人はどんな道を選ぶのか──というラブストーリーを軸にした人間ドラマです。
この映画は同名小説が原作です。原作者の小坂流加さん自身が難病を発症、自分の余命を10年として、小説「余命10年」を紡ぎました。その原作を元に、小坂さんのエピソードも取り入れて映画化に挑んだのは、藤井道人監督。『新聞記者』、『宇宙でいちばんあかるい屋根』、『ヤクザと家族 The Family』などで知られる、知っておいてほしい監督のひとりです。
春の桜、夏の海、秋の紅葉、冬の雪……めぐる四季、10年の歳月を1年かけて撮影していることや、茉莉と和人はもちろん、茉莉の家族、和人の親代わりのような存在である居酒屋の店主、茉莉と和人の親友……登場人物の感情を丁寧に映し出しているのも藤井監督のこだわりです。そして、茉莉はどう生きたのか、彼女と関わる人たちはどう生きているのか、その先には、自分自身(映画を観た人)はどう生きるのかという観客への問いかけもある。
「時というものは、それぞれの人間によって、それぞれの速さで走るものなのだよ」これはウィリアム・シェイクスピアが遺した言葉ですが、この映画を観てふと思い出し、茉莉の“時”は、きっととても速く進んでいたんだな、そんなふうに考えたりもしました。
観る人が今どんな環境にいるのか、どんな状況なのかによって感じ方はさまざまだと思いますが、茉莉と彼女を愛した人たちを通して気づかせてもらうことが必ずある。多くの人に出会ってほしい映画です。
四季折々の風景が美しい度
★★★★☆
自然と涙があふれてくる度
★★★★★
RADWIMPSの主題歌もぴったり度
★★★★☆
監督
藤井道人
出演
小松 菜奈 坂口健太郎
配給
ワーナー・ブラザース映画
3月4日(金) 全国ロードショー
©2022映画「余命10年」製作委員会
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