CULTURE
レジスタンスでありジャーナリストでもあった芸術家『ジュゼップ 戦場の画家』
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『ジュゼップ 戦場の画家』
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ジュゼップ・バルトリという画家をこの映画で知りました。1939年にスペイン内線の戦火を逃れた難民が隣国フランスに押し寄せ、フランス政府によって強制的に収容所に閉じ込められたこともこの映画で知りました。
この映画を「観たい」と思ったそもそものきっかけは、ポスター(チラシ)の画に惹かれたから。有刺鉄線のそばでペンと紙を持ち、何かを描いているひとりの男性。彼が見つめる空にはフリーダ・カーロに似た女性も描かれていて、何故か惹かれた。ジュゼップという戦場の画家については知識ゼロだったけれど、フリーダ・カーロは知っている──この映画が気になったのはそんな理由でした。
「この映画を観たい」と思うきっかけは、その時々いろいろな理由からだと思いますが、直感的に気になる、何か気になる、そういう感覚で出会う映画があってもいい。
映画を観た後に知ったことですが、この『ジュゼップ 戦場の画家』のオーレル監督は、もともとイラストレーター。フランスの全国紙「ル・モンド」と週刊風刺新聞「カナール・ア
ンシェネ」のイラストをはじめ、さまざまなフランスの新聞のグラフィックを手がけてきた人。なぜ、イラストレーターの彼がこの映画の監督をすることになったのか。
とあるブックフェアで、オーレルの目に偶然止まった一冊の本の表紙。その本は、ジュゼップのおいであるジョルジュ・バルトリから、おじのジュゼップへ捧げられた本だったそうです。オーレルはこう語っています。「(その本には)権力、国家、宗教、臆病な国際社会のリーダーたちへの批判が、含蓄のあるイラストで詳細に描かれていた。彼の想いを理解し、引き継ぎ、自分のペンによって現代によみがえらせたい、という衝動に突き動かされた」と。その衝動がアニメーション制作へと繋がっていったそうです。
オーレル監督が興味を抱いたジュゼップ・バルトリの人生とは──
スペイン内戦中フランコ軍と戦い、風刺漫画家としても活躍
↓
避難先のフランスの強制収容所で過酷な難民生活を経験
↓
収容所から脱走を繰り返したのちメキシコへ亡命
↓
フリーダ・カーロと出会い愛人となる
↓
ニューヨークへ拠点を移し、芸術家として名声を得る
波瀾万丈です。こんなことが実際にあったなんて……とショッキングな出来事も描かれますが、真実を知り、反面教師にして、現代をどう生きるべきか。そんなメッセージを受け取るのではないでしょうか。過酷な状況のなかにも親切や希望があることも伝えています。もちろん芸術の力の大きさも。
ジュゼップ・バルトリという画家の驚くべき人生を知ることで、世界を知る、人を知る、芸術を知る、発見だらけのアニメーションです。
| 波瀾万丈度 |
★★★★☆
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| 絵の力度 |
★★★★☆
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| 生き抜く力度 |
★★★★☆
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監督
オーレル
配給
ロングライド
©Les Films d'Ici Méditerranée - France 3 Cinéma - Imagic Telecom - Les Films du Poisson Rouge - Lunanime - Promenons nous-dans les bois - Tchack - Les Fées Spéciales - In Efecto - Le Mémorial du Camp de Rivesaltes - Les Films d'Ici - Upside Films 2020
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