CULTURE

2021.05.28

デイヴィッド・バーンとスパイク・リーが仕掛ける『アメリカン・ユートピア』

『アメリカン・ユートピア』

何、このステージ！何、このパフォーマンス！間違いなく引き込まれると思うんですよね、この『アメリカン・ユートピア』。

音楽＝曲からインスパイアされて映画ができたり、感動的な舞台が映画になったりすることはありますが、『アメリカン・ユートピア』は少し異なります。始まりは元トーキング・ヘッズのフロントマン、デイヴィッド・バーンが2018年に発表したアルバム「アメリカン・ユートピア」。

【アルバム】→【ワールドツアー】→【ブロードウェイ】→【映画】という流れで、アルバムを進化させてきたわけですが、そこにはデイヴィッド・バーンのある想いが込められていました。

「今回のショーは自分のこれまでのショーとは、まるで違うものになるので映画化すべきだと思った。いま、世界で起きていることを表現したかった。ミュージシャンとして、これまでより責任のある行動に出たかったんだ」（デイヴィッド・バーン）

──と語っているように、この映画は、コミュニケーションの大切さ、選挙の重要性、人種問題……いまこの時代が抱える社会問題について問いかけてきます。でも決して堅苦しいわけではなく、パフォーマンスのなかにその問いかけをさりげなく組み込んでいるので、見ていて楽しい！けれど「そうだよね、それは問題だよね」と共感する。

しかもステージ上には舞台セットはなく、そこに存在するのは、デイヴィッド・バーンを筆頭にグレーのお揃いのスーツを身に纏った計12人。デイヴィッド・バーンの歌と、マーチングバンド形式による圧倒的な演奏とダンス・パフォーマンスから目が離せないんです。

とは言っても、恋愛映画やミステリー映画のようなストーリー展開がないと飽きちゃうんじゃない？ドキュメンタリーっぽいと映像が単調なんじゃない？と思いがちですが、監督は『ブラック・クランズマン』のスパイク・リー。会場全体の臨場感と高揚感が伝わってくるのはもちろん、観客自身も13人目のメンバーになったかのような視点もあって、何、このステージ！何、このパフォーマンス！の連続です。

思考を揺さぶる度	★★★★★
斬新な振り付け度	★★★★☆
会場の熱気を感じる度	★★★★☆

監督
スパイク・リー

出演
デイヴィッド・バーン
ジャクリーン・アセヴェド
グスタヴォ・ディ・ダルヴァ
ダニエル・フリードマン
クリス・ジャルモ
ティム・ケイパー
テンダイ・クンバ
カール・マンスフィールド
マウロ・レフォスコ
ステファン・サンフアン
アンジー・スワン
ボビー・ウーテン・３世

配給
パルコ

5月28日（金）より全国ロードショー

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