CULTURE
きっと誰のなかにも“彼”はいる『佐々木、イン、マイマイン』
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『佐々木、イン、マイマイン』
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ああ、“佐々木”は私の人生のなかにもいたんだな──。この映画を観た誰もが自分自身の記憶をたどって、忘れていた青春のひとこまが蘇るのではないかと思うんです。もちろん、登場人物が生きてきた道と同じではないけれど、“佐々木”という存在感あるキャラクターと出会うことで、記憶の扉が開く。『佐々木、イン、マイマイン』は、観る人にとってとても近しい映画と言えます。
物語の主人公は、悠二(藤原季節)。俳優になるために上京したものの鳴かず飛ばずの生活を送っていたある日、高校の同級生と再会したことで、“佐々木(細川岳)”との日々を思い起こします。それは何気ない十代の日常ですが、大人になるにつれて忘れてしまっている青春には、迷いを吹き飛ばしてくれるような、背中を押してくれるようなメッセージがある。悠二は、後輩に誘われて舞台に出演することになるのですが、その舞台の内容と彼自身の過去と現在にリンクして……。
何とも言えない共感を体験するこの映画は、これからを担う魅力的な表現者たちが揃っている1本でもあります。なかでも監督の内山拓也。King Gnu「The hole」のミュージックビデオなどで知られ、2016年に初の長編監督作『ヴァニタス』がPFFアワード2016観客賞を受賞。そして本作『佐々木、イン、マイマイン』は、『ヴァニタス』の主演をつとめた細川岳のエピソード、彼の高校時代の同級生との日々が原案となっており、内山監督に「撮らなければいけない映画がある。これがダメなら俳優を辞めようと思う」と話を持ちかけたことからプロジェクトがスタート。約2年半を費やして脚本を完成させたそうです。
夢を追いながら、現実にもがきながら、佐々木を思い出して前に進もうとする主人公の悠二は、きっと細川岳であり、内山監督でもあり、私たちでもあり、たどり着きたい場所になかなかたどり着けずにいる悩める誰かでもある。だからあの“佐々木コール”は、この映画を観た人にとっての応援コールとしてずっと記憶に残る。普遍的で衝撃的な青春映画なのです。
| 期待の映画人が揃ってる度 |
★★★★☆
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| 佐々木のヒーロー度 |
★★★★☆
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| 自分の青春を思い返す度 |
★★★★☆
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監督
内山 拓也
出演
藤原 季節
細川 岳
萩原 みのり
遊屋 慎太郎
森 優作
小西 桜子
河合 優実
井口 理(King Gnu)
鈴木 卓爾
村上 虹郎
2020 年11月27 日(金)より新宿武蔵野館ほか全国公開
配給
パルコ
© 「佐々木、イン、マイマイン」
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