CULTURE
世界的絵本作家の激動の物語『ヒトラーに盗られたうさぎ』
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『ヒトラーに盗られたうさぎ』
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この小さなヒロインから、どれだけの勇気と前向きさを受け取ったことでしょうか。ドイツ映画『ヒトラーに盗られたうさぎ』は、ヒトラーの迫害から逃れるために、ドイツからスイス、フランス、イギリスへと亡命した家族の話を9歳の少女の目線で描いた物語。その少女とは世界的絵本作家として知られるジュディス・カー、彼女の自伝的作品をもとにした映画です。
戦争を知らない世代にとっては、生き延びるために逃避行する、亡命する、それがどんなに大変なことであるか想像し難いですが、映画などを通して事実を知る、歴史を学ぶことはできます。もちろんこの映画もそのひとつ。
ドイツのベルリンで両親と兄と一緒に平和に暮らしていたアンナの人生は、1933年の2月に大きく変わります。ユダヤ人で辛口演劇批評家の父が新聞やラジオでヒトラーの批判をしていたことで、次の選挙でヒトラーが勝つとヒトラー反対者への弾圧が始まると忠告を受け、アンナたちはスイスに向かいます。けれどスイスでは父の批評家としての仕事はなく、今度はパリへ──。
言葉が通じない、なかなか友だちもできない、大人でも心が折れてしまいそうな環境であってもアンナは前向き。ナチスドイツから逃亡する話であるのに、まるで冒険物語のような明るさがあるのです。それは原作「ヒトラーにぬすまれたももいろうさぎ」に流れているものであって、監督のカロリーヌ・リンクは「主人公がどんなに闇に覆われようとも、この映画では自信と好奇心と明るさを、そして家族というものが持つ大きな力を描きました」と語っています。
アンナも家族も、貧しくても思考は豊かで、差別されてもくじけない心の強さがあって、そうやって切り抜けるのね!そう対処すればいいのね!と、教えられることばかり。「気づきをありがとう」とお礼を言いたくなるほど、本当に素敵な映画なのです。
| アンナの逞しさ度 |
★★★★☆
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| 衣裳がかわいい度 |
★★★★☆
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| 家族の絆の深さ度 |
★★★★☆
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監督
カロリーヌ・リンク
出演
リーヴァ・クリマロフスキ オリヴァー・マスッチ カーラ・ジュリ
2020年11月27日(金)よりシネスイッチ銀座にて全国順次ロードショー
配給
彩プロ
© 2019, Sommerhaus Filmproduktion GmbH, La Siala Entertainment GmbH, NextFilm Filmproduktion GmbH & Co. KG, Warner Bros. Entertainment GmbH
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