CULTURE
テレビの中に入りたい
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『テレビの中に入りたい』
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ドラマの放送(あるいは配信)を毎週決まった時間に心待ちにする経験が誰にでもあると思います。
『テレビの中に入りたい』という、なんとも願望強めの邦題がつけられたこの映画、主人公たちが夢中になるのは、謎めいた夜のテレビ番組「ピンク・オペーク」。その番組では、ガールズヒーロー2人が邪悪な月の男“ミスター・憂鬱メランコリー”の遣わすモンスターたちと戦いを繰り広げます。
そんな「ピンク・オペーク」に魅せられるのは、主人公の少年オーウェンと、彼の2学年上のマディ。とあるきっかけで知り合い、次第に番組の登場人物と自分たちを重ね合わせるようになっていきます。
テレビの中の世界と現実世界がつながるというと、ファンタジックな世界を想像するかもしれません。例えば、映画『カラー・オブ・ハート』はテレビの中へ、『ネバーエンディング・ストーリー』は本の中へ、『マトリックス』は仮想世界へ入り込むように、そんなことがあったら面白いね、すごいねと、現実にはありえないからこそ異世界に憧れる。『テレビの中に入りたい』も似ているのですが、少し違って──。
過去に夢中になったことであっても、月日が流れ、成長すると、なんであれほど夢中になっていたのかと、対象への興味が大きく変化することがあります。そういった個人それぞれの脳内で変化する“感覚”を映像として見せてくれるのが、この映画なのです。
物語の起点になるのは90年代のアメリカ郊外ですから、テレビはブラウン管で録画はVHS(ビデオテープ)、各家庭にネット環境はありません。ここではないどこかに連れていってくれるのは、テレビの中の世界だけ。そこに救いを求める若者たちのアイデンティティも描かれます。
監督&脚本を手掛けたのは新進気鋭のジェーン・シェーンブルン。トランス女性でノンバイナリーであることを公表し、クィア映画の推進者でもあるシェーンブルンだからこそ作品に込められるものがある。面白そうな映画だなとスイッチを入れたら、想像以上に奥深いものが待っていて、個性とは何か、自分とは何かを考えさせられる映画でもあります。
| 自分探し度 |
★★★★☆
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| スリラー度 |
★★★★☆
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| ファンタジー度 |
★★★☆☆
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監督・脚本
ジェーン・シェーンブルン
出演
ジャスティス・スミス
ジャック・ヘヴン
ヘレナ・ハワード
リンジー・ジョーダン
配給
ハピネットファントム・スタジオ
2025年9月26日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開
Ⓒ2023 PINK OPAQUE RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
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