CULTURE
坂東龍汰の繊細な演技が光る『君の忘れ方』
|
『君の忘れ方』
|
|
この気持ちは片時も忘れない、忘れることなんてできない──と思っていても、時間は絶えず進みつづけていて、やがて頭のどこかにある“ときどき思い出す箱”に移動させられ、四六時中意識することがなくなり、そして思い出になっていく。
かつて深い悲しみに遭遇したことのある人は、そういう過程を経験しているのではないかと思います。けれど、どうにもならない時もある。映画『君の忘れ方』は、どうにもならない悲しみに押しひしがれる人たちが、その悲しみとどう向きあうのか、グリーフケア(近親者や大切な人を亡くした人に対する心のケア)を描いた映画です。
ラジオ番組の構成作家・昴(坂東龍汰)は、付き合って3年になる恋人の美紀(西野七瀬)と結婚を間近に控えていましたが、ある日、彼女は交通事故で帰らぬ人に……。茫然⾃失の⽇々を過ごす昴は、⾃分と同じような経験を持つ⼈たちと触れ合うことで、行き場のない想いを内から外へ出していきます。
登場人物たちは大切な人を亡くしているので、作品として決して明るい映画とは言えません。でも、坂東龍汰さんの繊細な演技をはじめどの俳優からも感情が伝わってくる。人ぞれぞれ悲しみのカタチも深さも異なるだろうけれど、悲しみとの向き合い方はきっと見つかるのだと思える。この映画自体がグリーフケアになっています。
『君の忘れ方』というタイトルにも意味があって。映画を観る前と後では“忘れ方”という言葉の捉え方や感じ方が違ってくると思うのです。
少し個人的なことを書きます。私自身この映画を観て今は亡き大切な人のことを思い出しましたが、不在である悲しみよりもその人との時間がどれだけ愛おしい時間だったのかを思い出したくなった。そして「またね(また思い出すからね)」と語りかけた。そんな気持ちを運んできてくれる映画です。
| 坂東龍汰度 |
★★★★★
|
| グリーフを知る度 |
★★★★★
|
| ホラー度 |
★★★☆☆
|
|
監督・脚本
作道雄
出演
坂東龍汰
西野七瀬
円井わん
小久保寿人
森優作
秋本奈緒美
津田寛治
岡田義徳
風間杜夫(友情出演)
南果歩
配給
ラビットハウス
2025年1月17日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開
Ⓒ「君の忘れ方」製作委員会2024
|
RECOMMEND
国内最大級のHIP HOP FESTIVAL『THE HOPE 2023』の出演アーティスト第1弾がラインアップ! チケットはすでに争奪戦!
あらゆるカルチャーをシームレス化するプロジェクトOVERPASSが始動
NYLON JAPANがプロデュースするラジオ番組『it girl café at TOKYO』のオンエアファイナルは3/18~19、3/25~26に放送!
CULTURE NEWS
入れ替わったまま15年、戻れない!?『君の顔では泣けない』
旅は日常の中にある、三宅唱監督最新作『旅と日々』
かわいすぎる韓国のイヤフォンホルダーで、トレンドの有線イヤフォンを持ち歩こう!–韓国HOT NEWS 『COKOREA MANIA』 vol.479