CULTURE
その執着と競争心はどこから来るのか?『ノーヴィス』
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『ノーヴィス』
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私は一体、何を見ているのだろう?この主人公は何を掴み取ろうとしているのだろう?『ノーヴィス』は、そんなクエスチョンが時間経過とともに大きくなっていきます。
ローイング(ボート漕ぎの競技)が題材なので、最初はこの競技について興味が湧き、選手を目指す人たちはどんな練習をするのかなど、知らない世界を覗くような感覚でグイグイと引き込まれていきます。やがてその興味は、主人公アレックス(イザベル・ファーマン)に対する苛立ちにも似た感情に置き換わるかもしれない──。
芸術家やスポーツ選手が困難に立ち向かいながらも没頭する映画は数え切れないほど作られています。その多くは人間ドラマの中に芸術なりスポーツなりが編み込まれていて、人間ドラマの部分に観客は共感し、さまざまな感動にたどり着くと思うのです。
しかしながらこの『ノーヴィス』の主人公は、「困難だからこそ挑戦するのだ」というJ.F.ケネディの言葉を胸に大学女子ボート部の門を叩き、がむしゃらにローイングのトレーニングをする。もっと難しい方へ、もっと困難な方へ、自らを追い込んでいく。淡々と、本当に淡々とトレーニングする姿が描かれ、時に異常に感じるほどです。
アレックスのモデルは、この映画の監督(・脚本・編集)、ローレン・ハダウェイなのだそう。監督自身の経験が脚本のベースになっていることを頭の片隅に置いて観ると、ほんとにこんな経験を?と驚くと同時に、自分のなかにもその要素があるのか?と、探してみたり。
また、監督自身が『ノーヴィス』は『ブラック・スワン』や『セッション』に近いと言っていることから、その2本を面白いと思った人は、自然と『ノーヴィス』に食指が動くと思います。けれど実際は、『ブラック・スワン』より痛々しくて、『セッション』より自分を追い込んでいく、なかなかどうして理解や共感は難しい。シンプルな物語ですが、実はとても手強いのです。
それでも観る者は、この映画の真意は何なのかを突き止めたくなる、気づくと見入っている、アレックスの執着心に取り憑かれていく──。「何なの?」という問いかけが多いけれど、それ以上に何だかすごいものを見てしまったという衝撃も大きくて。アレックスの異常なほどの執着と競争心がどれほどのものなのか、百聞は一見に如かず。
| 狂気度 |
★★★★★
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| 練習度 |
★★★★★
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| 共感度 |
★★☆☆☆
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監督・脚本・編集
ローレン・ハダウェイ
出演
イザベル・ファーマン
エイミー・フォーサイス
ディロン
配給
AMGエンタテインメント
11月1日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネリーブル池袋、シネマート新宿、ほか全国順次ロードショー!
ⒸThe Novice, LLC 2021
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