CULTURE
糸から生地、そして服へ『BISHU 〜世界でいちばん優しい服〜』
『BISHU 〜世界でいちばん優しい服〜』
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服を買うとき、何を意識していますか。デザイン・色・値段・ブランドなど優先する項目は人それぞれ、その時々によって異なりますが、映画『BISHU 〜世界でいちばん優しい服〜』を観ると、きっと肌触りも意識するようになる、服の生地にも興味を持つ、と思うのです。
“BISHU”とは、世界三大毛織物(ウール)の産地として世界的に注目されている愛知県一宮市のある尾州地域。この映画の舞台となる街です。日本最大の毛織物産地として知られ、尾州でつくられた織物は、国内はもちろん海外のハイブランドにも採用されています。
しかし、時代は変わり、安価な素材やファストファッションの流通などによって産地は多くの課題を抱え、この映画の主人公・史織(服部樹咲)の父親が営む機織工場も経営難で閉鎖寸前に……。
そんなある日、史織が何気なく描いた服のデザインを見た親友の真理子は、その才能にピンときて、史織に内緒で校内デザインコンクールにエントリー。さらに、一宮市のファッションショーに出品しようと、二人は生地作りから始めます。
何者でもない若者が、何者かになろうとして奮闘する、自分にとって乗り越えなければならない何かを乗り越える、大切な人の存在や人の優しさに気づく──。
生活習慣へのこだわりが強く苦手なことも多い、発達障害をもつ史織のひとつひとつの頑張りが胸を打つのです。
また、機織工場を継ぎたい! という史織の奮闘だけではなく、才能に嫉妬するライバルたち、デザイナーとして挫折した姉、心配しすぎて過保護になる父親……史織をとりまく人々の葛藤も描かれる。共感ポイントがひとつじゃないところもいい。
何より、世の中はいつだって「ふつうは〜」と分類されがちですが、いろんな“ふつう”があって、そもそも“ふつう”なんてないのかもしれない、と思わせてくれる。自分も挑戦してみようって思うし、挑戦している人を見守りたくもなる。とても温かい映画です。
諦めない度 |
★★★★☆
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応援したくなる度 |
★★★★☆
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技術の継承度 |
★★★☆☆
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監督
西川達郎
脚本
鈴木史子
西川達郎
義井優
出演
服部樹咲
岡崎紗絵
長澤樹
黒川想矢
知花くらら
田中俊介
山口智充
近藤芳正
吉澤健
清水美砂
吉田栄作
配給
イオンエンターテイメント
先行公開中/10月18日(金)拡大公開
Ⓒ2024映画「BISHU 世界でいちばん優しい服」製作委員会
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