CULTURE
女性の権利を問う『コール・ジェーン –女性たちの秘密の電話-』
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『コール・ジェーン –女性たちの秘密の電話-』
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自分自身が身を置くなかで、理不尽なことや納得のいかないことがあったとしても、そういうものだから仕方ない……と「なぜ?」「どうして?」をのみ込んでいることってないでしょうか。
今回、取り上げる『コール・ジェーン –女性たちの秘密の電話-』は、自分の身体(命)に関わることであるのに、なぜ自分で決められないのか?という疑問から始まります。
物語の舞台は1960年代のシカゴ。主人公のジョイは2人目の子供を妊娠しますが、自身の心臓の病気が悪化していることが発覚。担当医からすぐに中絶手術を勧められます。しかし、病院の男性責任者たちは中絶を拒否。そこでジョイは、正規ルートではない方法で中絶を試みることに。たどり着いたのは、違法ではあるけれど、安全な中絶手術を提供する女性主導の活動団体「ジェーン」でした。ジョイが「ジェーン」と出会い、どう関わっていくのかが描かれます。
そもそもこの映画は実話に基づいています。「ジェーン」とは、1960年代後半から70年代初頭にかけて、推定12,000人の女性の中絶を手助けしたと言われている活動団体。彼女たちの想いは、1973年に「ロー対ウェイド判決(※)」で実を結びましたが、2022年にアメリカ最高裁がその判決を破棄したことで、ふたたび人工妊娠中絶が難しくなりつつあるのです。
また、日本はどうなのか?原則として刑法で堕胎は禁じられていますが、母体保護法という法律があり、適応条件──身体的理由や経済的理由によってのみ指定医による中絶手術が認められています。
権利について考えるというと、何だか難しそうだし、今すぐ自分に関わることじゃないし……と素通りしてしまいがちですが、決して他人事ではない、自分たちの権利は自分たちで守っていかなければならない、そんな気づきをこの映画から受け取るはずです。
※ロー対ウェイド判決
1973年、それまでアメリカ合衆国で違法とされていた妊娠中絶を女性の権利と認め、人工妊娠中絶を不当に規制する州法を違憲とする連邦最高裁判所の判決がくだされた裁判。人工妊娠中絶合法化の契機となった。(「ブリタニカ国際大百科事典」より引用)
| 問題提起度 |
★★★★★
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| 女性の連帯度 |
★★★★★
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| ユーモア度 |
★★★☆☆
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監督・脚本
フィリス・ナジー
出演
エリザベス・バンクス
シガニー・ウィーバー
配給
プレシディオ
3月22日(金)全国公開
Ⓒ2022 Vintage Park, Inc. All rights reserved.
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