CULTURE
灰色のロバを通して見えてくるもの『EO イーオー』
『EO イーオー』
目線を変えることで、見えるものがある──。ポーランドから届いたこの映画、『EO イーオー』の主人公はロバです。動物が主人公の映画は、動物が言葉を発するなどファンタジー的なものもありますが、『EO イーオー』の場合はそうではなく、ドキュメンタリーに近いロードムービーのような寓話。
カメラは、旅するEOの姿を捉えながらも、時にはEOの目線で世界を映し出し、どうやって撮ったの?ロバが演技しているの?驚くようなカメラワークに終始惹きつけられます。
EOは、もともとサーカス団の一員としてカサンドラという女性から愛情を注がれて生きていましたが、ある出来事をきっかけに、カサンドラと離ればなれになり、サッカーチーム、イタリア人司祭、夫に先立たれた伯爵夫人……いろいろな人たちと出会っては別れを繰り返します。出会う人たちは、いい人もいれば悪い人もいて、EOを通して映し出されるその人間の世界についても考えさせられるのです。
この映画は、純粋さについての映画。監督のイエジー・スコリモフスキはこう語っています。
「シニカルで世知辛い私たちの世界では、純粋さは世間知らずの証 と受け止められ、弱さであると見なされることもあります。しかし私は今でも、自分の中に残った純粋さを育むよう努めています」
ポーランドの映画ではありますが(撮影はポーランドとイタリアで行われた)、EOが、もしも日本を旅していたらどんなふうに映し出されるのだろうか、そんなことも考えながら、EOの純粋さ、好奇心、無邪気さに心を奪われて。EOは言葉を発しないけれど、感情がありありと伝わってくる、感情に訴えかけてくる。出会ったことのない映画です。
EOの瞳に釘付け度
★★★★★
EOはおちゃめです度
★★★★☆
EOと一緒に旅する度
★★★★☆
監督
イエジー・スコリモフスキ
脚本・製作
エヴァ・ピアスコフスカ
イエジー・スコリモフスキ
出演
サンドラ・ジマルスカ
ロレンツォ・ズルゾロ
イザベル・ユペール
配給
ファインフィルムズ
5月5日(金・祝)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町他にてロードショー
Ⓒ 2022 Skopia Film, Alien Films, Warmia-Masuria Film Fund/Centre for Education and Cultural Initiatives in Olsztyn, Podkarpackie Regional Film Fund, Strefa Kultury Wrocław, Polwell, Moderator Inwestycje, Veilo ALL RIGHTS RESERVED
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