CULTURE
2026.07.01
雨さえも祝祭になった。世界7都市をつないだ『Red Bull Midsummer』が描いた、夏の始まり。
けれど、この日の千葉は朝から厚い雲に覆われ、午後には雨も降り始めた。それでも誰ひとり、その天候を"ハプニング"とは受け止めていない。プールに浮かび、サウナで身体を温め、雨粒が水面を叩く音さえ音楽の一部になっていく。太陽だけではなく、風も雨も、その場に流れる時間までも祝福するような空気。自然をコントロールするのではなく、自然ごと楽しむ──そんなイベントの思想が、自然と人をシームレスにつなぐ会場のムードそのものに表れていた。
そんな一日の幕開けを担ったのはAlbino Sound。鳥のさえずりと溶け合うアンビエントが、朝の空気をゆっくりと整えていく。Eita Godoはジャジーなアンビエントやバレアリック、ネオソウルを横断しながら、朝から昼へ移ろう時間を穏やかにデザイン。さらにイタリアを代表するアンビエント・ミュージックの至宝Gigi Masinが、優しいピアノとシネマティックなサウンドを軸に、ときにイーブンビート、ときにサイケデリックな展開を織り交ぜる。音楽と自然の境界が、少しずつほどけていくようだった。
午後になると、Chloé Julietteが幻想的なディスコからジャズファンク、ハウスまでを自在に横断し、会場を心地よいグルーヴへ導く。Kuniyuki Takahashiはルーパーや電子パーカッション、シンセサイザーを駆使し、アンビエントからディープハウスまでを一本の物語として紡いでいった。そしてLicaxxxとFELINEによる、この日限りのスペシャルB2Bで空気は一変。途中から降り出した雨を吹き飛ばすようなハウスとテクノがフロアの熱量を押し上げ、来場者は雨を気にすることなく踊り続ける。その姿もまた、この日だけの風景だった。
夕暮れには、ロンドンを拠点に活動するVegynがヘッドライナーとして登場。シンセポップからレフトフィールドハウス、エレクトロニカ、ディスコ、シューゲイザーまでを横断する唯一無二のDJセットで、夏至という特別な一日に静かな余韻を残した。
この日を振り返ったGigi Masinは、日本ならではの環境が自身の故郷・ヴェネツィアを思い起こさせたと語る。 「水と湿気に囲まれた環境で育った自分にとって、日本には故郷と似た空気があります。この自然に囲まれた会場で演奏できたことは、本当に特別でした」その言葉どおり、この日は出演者にとっても来場者にとっても、景色そのものが音楽になった一日だった。
会場では、BOTANICAL POOL CLUBを象徴する40メートルのインフィニティプールやコンテナサウナに加え、「Red Bull Mocktail Workshop」も実施。7月14日発売予定の「レッドブル・エナジードリンク すだちエディション」を一足先に味わいながら、自分だけのモクテル作りを楽しむ来場者の姿も印象的だった。
そして、このイベントを特別なものにしていたもうひとつの要素が、世界7都市をリアルタイムで結ぶライブストリーミング。DJブース背後の円形スクリーンには、ムンバイをはじめ各都市の景色が映し出され、まるで太陽が世界を巡るように、日本からロサンゼルスへと音楽のバトンが渡されていく。ひとつの会場にいながら、世界中の祝祭と同じ時間を共有する感覚。『Red Bull Midsummer』が祝っていたのは、単なる夏至ではない。太陽も、雨も、音楽も、人も、都市も。そのすべてがゆるやかに響き合い、境界を越えてひとつにつながる。そんな夏の始まりの記憶が、確かにそこにあった。
INFO
BOTANICAL POOL CLUB
千葉県安房郡鋸南町下佐久間1510-2
アクセス
都心から車でおよそ70分。JR内房線「安房勝山駅」より車で5分。
館山方面行き高速バス「ハイウェイオアシス富楽里」より車で5分。
TEXT SADANORI UTSUNOMIYA
















