CULTURE
人間の心理をえぐる鬼才・吉田恵輔監の最新作『神は見返りを求める』
|
『神は見返りを求める』
|
|
この映画監督の作品は見逃してはいけない──ある種の絶対的な面白さを生み出し続ける監督がいます。𠮷田恵輔監督はそのひとりだと思うのです。
𠮷田監督のコメントにはこうあります。「久しぶりにキュンとする作品を作りました。まあ、私のキュン感覚はだいぶズレてる気がしますが……。“恩を仇で返す女”と“見返りを求める男”の心温まりづらいラブストーリーを楽しんでもらえたら幸いです」。ちょっとズレてるキュンとはどんなキュンなのか、ラブストーリーなのに心温まりづらいってどんなものなのか、もうこの言葉だけでも「観てみたい!」ってなるはず。
そんな新作『神は見返りを求める』はオリジナル脚本。そこで描かれるキャラクターはYouTuber。時代にあったキャラクターで物語を進めつつも根底に流れているのは、どの時代にも通じる人間の心情の変化です。優しかった人がなぜ? 親切にしてもらったのになぜ? 何かのきっかけで、人の気持ちはこんなにも簡単に変わってしまうのか……と、人間関係から生まれる欲望や嫉妬、憎悪といったダークな一面を炙り出していきます。ジワジワと、そして徐々に加速して、えっそういう展開ですかと意表を突いてくる。アクション映画ではないのに、たまらなくスリルがあるのです。
恩を仇で返すキャラクターも、見返りを求めるキャラクターも、決して珍しいキャラクターではないのに、𠮷田監督の手に掛かると、これは観たことなかった!となってしまう。やっぱり見逃してはいけない監督ですし、見逃してはいけない作品です。さらに、見返りを求めない男から見返りを求める男になってしまう田母神を演じるのはムロツヨシ、底辺YouTuberから売れっ子YouTuberに転身するゆりちゃんを演じるのは岸井ゆきの。この組み合わせも見逃せません。
オリジナル脚本の魅力は、真新しい物語と出会えることなので、あらすじは、敢えて書きません。“恩を仇で返す女”と“見返りを求める男”というキーワードに惹かれたら、入口はそれで十分。情報を入れずに映画を観る楽しさを味わってほしいのです。
| 心理をえぐられる度 |
★★★★★
|
| 好意が憎悪に逆転度 |
★★★★☆
|
| キャスティング度 |
★★★★☆
|
|
監督・脚本
𠮷田恵輔
出演
ムロツヨシ
岸井ゆきの
若葉竜也
吉村界人
淡梨
栁俊太郎 br>
配給
パルコ
6月24日(金)全国ロードショー
©2022「神は見返りを求める」製作委員会
|
RECOMMEND
2010年01月号掲載 ED_LETTER vol.65『偶然と必然』
韓国おすすめスポットはZINEでまとめてチェック♡ –韓国HOT NEWS 『COKOREA MANIA』 vol.26
メディコム・トイの新たな直営店“MEDICOM TOY NEXT”が渋谷PARCOにオープン!
CULTURE NEWS
かわいすぎる韓国のイヤフォンホルダーで、トレンドの有線イヤフォンを持ち歩こう!–韓国HOT NEWS 『COKOREA MANIA』 vol.479
世界の映画と出会える、東京国際映画祭へ行こう!
自宅で優雅に抹茶を点てられる! 韓国の人気キットをピックアップ–韓国HOT NEWS 『COKOREA MANIA』 vol.478