CULTURE
お針子の技術と人生に光を当てた『オートクチュール』
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『オートクチュール』
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オートクチュールを辞書で引くと──「高級衣装店。また、その専属デザイナーの手による特別仕立ての高級注文婦人服」とあります。その言葉がそのままタイトルになったこの映画は、クリスチャン・ディオールのオートクチュール部門で働く“お針子”を主人公にした映画です。
オートクチュール、ディオール、お針子というワードから、2015年に公開されたドキュメンタリー『ディオールと私』を思い出す人もいるでしょう。今回はドキュメンタリーではなく、お針子の人生を物語にした映画ですが、メインとなるアトリエのシーンでは、『ディオールと私』にも登場した現役のお針子たちが出演。彼らの素晴らしい技巧を目にすることができます。もちろんディオールのドレス、直筆のスケッチ画、貴重なアーカイブ作品の数々も登場します。
物語の主人公は、アトリエの責任者であり熟練のお針子であるエステル(ナタリー・バイ)。彼女に見出され、お針子として一歩を踏み出す少女のジャド(リナ・クードリ)。もうすぐ引退する職人が後継者を育てるという物語を軸に、夢や希望を持つことが生きる強さになること、家族との向き合い方、技術を学ぶ姿勢など、誰にとってもヒントになるようなメッセージが込められています。
ダメッ子が才能ある指導者と出会って成長していく話は、決して珍しくはないですが、そのベースとなる舞台がクリスチャン・ディオールのオートクチュール部門となると、さまざまな美しさがプラスされる。美しいものに触れることで、心の在り方も変わっていく。ジャドの成長がとても清々しく描かれています。
そして、身につけるモノについても考えさせられます。その服はどうやって作られたのか、デザイナーは何をテーマにしたのか、どんな素材が使われているのか……そんなことを考えると、オートクチュールは無理でも、いつまでも手元に置いておきたくなるような特別な1着が欲しくなる。自分にとっての大切なモノの基準を教えてくれる映画でもあるのです。
| 師弟度 |
★★★★★
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| 友情度 |
★★★★☆
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| 恋愛度 |
★★★☆☆
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監督・脚本
シルヴィー・オハヨン
製作
オリビエ・P・カーン
出演
ナタリー・バイ、リナ・クードリ、パスカル・アルビロ、クロード・ペロン、ソマヤ・ボークム、アダム・ベッサ、クロチルド・クロ
配給
クロックワークス
3月25日(金) 新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマほか全国公開
© 2019 - LES FILMS DU 24 - LES PRODUCTIONS DU RENARD - LES PRODUCTIONS JOUROR
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