CULTURE
本当に大切なものが見えてくる『竜とそばかすの姫』
『竜とそばかすの姫』
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たぶんこの映画は、観る人がいま抱えている何かしらの問題──哀しみとの向き合い方とか、好きな人への気持ちの伝え方とか、大切な仲間を応援する方法とか……そういった悩みにそっと寄り添ってくれる、行動するヒントを与えてくれる、そんな映画だと思うんです。
主人公は、自然豊かな田舎町で暮らす高校生のすず。歌うことが大好きだったけれど、母の死をきっかけに歌うことができなくなり、でも曲を作ることは続けていました。そんなある日、親友に誘われてインターネット上の仮想世界〈U(ユー)〉に参加することに。
〈U〉では<As(アズ)>と呼ばれる自分の分身を作り、別の人生を生きることができる。現実の世界では歌えなくなったすずでしたが、「ベル」と名付けたAsとして、〈U〉の世界では自然と歌うことができた。ベルは歌姫として人気者になっていきます。そして、ベルの大規模コンサートに「竜」という謎の存在が現れたことで、物語は大きく動いていきます。彼は何者なのか、なぜみんなに忌み嫌われているのか、竜に興味を持ち、ベルとしてすずとして、ある行動に出るけれど……。
〈U〉の世界は映像も音楽もワクワクしますし、ベルと竜の設定には「美女と野獣」に通じる感動もあるし、millennium paradeが手掛けるメインテーマ曲もいい!
現実世界の自分とは違う自分をインターネットのなかに作る──SNSだったりゲームだったり、私たちはすでにそういう世界を体験しているわけですが、別々の世界のように見えて、やっぱり繋がっているんだと、当たり前のことに気づかされる。本当はもの凄く可能性を秘めた自由で楽しい世界であるはずなのに、誹謗中傷やフェイクニュースであふれてしまっている世界を、じゃあ、どうしたらいいの? と問いたくなる。何より「ああ、大事なことってそういうことだよね」って、この映画を観たあとは、現実の世界でもインターネット上の世界でも優しくありたいと思うはずです。
いろんな気づきがある度 |
★★★★☆
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圧倒的な映像美度 |
★★★★☆
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テーマ曲のインパクト度 |
★★★★☆
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監督・脚本・原作
細田守
キャスト・スタッフ
中村佳穂
成田 凌
染谷将太
玉城ティナ
幾田りら
役所広司
2021年7月16日
全国東宝系にてロードショー
(C)2021 スタジオ地図
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