CULTURE
不気味なのに引き込まれるラビリンス・スリラー『ビバリウム』
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『ビバリウム』
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このご時世、“お家時間”を充実させるためにはどうすればいいのか──食事、娯楽、空間…… “お家”をキーワードにした特集をよく目にします。今回ピックアップした『ビバリウム』も“家”が深く関係している映画なのですが、注意してほしいのは、お洒落な感じに見えるけれど、実際はかなり不気味なテーマが潜んでいること。お洒落感と不気味さのコラボをぜひ楽しんでほしいのです。
主人公のジェマとトムを演じるのは『ソーシャル・ネットワーク』のジェシー・アイゼンバーグと『マイ・ファニー・レディ』のイモージェン・プーツ。この2人の組合せからも、なんか面白そう、なんかセンス良さそう、というイメージが湧いてきますが、彼らが映画のなかで連れて行かれる場所は、抜け出すことのできない奇妙な街です。
新居を探していたジェマとトムは、不動産業者から新興住宅地“ヨンダー”を紹介されます。住宅地は絵本から飛び出したような可愛らしい家が建ち並んでいますが、どの家も全部同じで、家具も生活用品も揃っているけれど「何かおかしい……」と感じた2人は、そこから帰ろうとします。ところが、どの道を選んでも案内されたNO.9の家に戻ってきてしまう。翌日も、そのまた翌日も、何度も脱出を試みても、たどり着くのはNO.9の家。一体どういうことなの? 何が起きているの? という不気味な展開は、赤ん坊がやって来ることでさらに不気味になっていきます。
その不気味な展開に隠されているキーワードのひとつが、タイトルの“ビバリウム”です。ビバリウムは聞いたことがなくても、たとえば──苔テラリウムとかアクアテラリウムとか聞いたことあるのではないでしょうか。水槽やガラス容器のなかに、自然や生き物の住む環境を再現した空間のことです。そしてビバリウム(vivarium)の「viva」の本来の意味は「生きる」ですから、そこから想像すると……ぞっとしませんか。
タイトルでどんな物語なのかをにおわせながら、観客に想像の余地を与えながら、最後の最後まで「どうなっちゃうの?」というドキドキ感が続く。監督のロルカン・フィネガンが「ぼくは“ヨンダー”という分譲住宅地の環境をどこかシュールレアリスム的に描きたいと思っていた」と語っているように、誰にとっても身近な“家”がとても自由な発想で描かれた、ラビリンス・スリラーです。
最後に、映画の冒頭で描かれるカッコウの話は重要なので、「カッコウってそういう鳥なのか」程度でいいので、記憶にとどめておくことをおすすめします。
| 迷宮度 |
★★★★☆
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| 恐怖度 |
★★★☆☆
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| 侵略度 |
★★★★☆
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監督
ロルカン・フィネガン
出演
ジェシー・アイゼンバーグ
イモージェン・プーツ
ジョナサン・アリスほか
全国公開中
© Fantastic Films Ltd/Frakas Productions SPRL/Pingpong Film
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