CULTURE
穏やかで力強いヒロインに共感する『わたしは光をにぎっている』
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『わたしは光をにぎっている』
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慣れ親しんだ場所から新しい場所へ──居場所が変わる理由は、進学だったり、就職だったり、何か挑戦のためだったり、人それぞれ異なるものですが、どんな理由であっても新しい変化を受け入れることは簡単ではないはずです。
『わたしは光をにぎっている』のヒロイン“澪”(松本穂香)は、祖母が切り盛りする長野の野尻湖近くに佇む民宿を手伝っていましたが、祖母の入院で民宿は閉館となり、亡き父の友人を頼って東京の下町へ。彼が経営する銭湯「伸光湯」で働きはじめます。しかし街の区画整理で「ここ無くなるんだよ」と知らされて……。
この映画は故郷を出た20歳の女性が自分の居場所を自分で作っていく物語です。澪は、○○になりたい! というような夢や目標を抱いて上京するのではなく、生きるために仕方なく上京します。自分は何がしたいのか、どんなふうに生きたいのか、明確なものはないけれど、そもそもみんながみんなキラキラした夢や目標があるわけじゃないと思うんです。それでも少しずつ変わっていく、成長していく。そんな彼女の居場所探しを、美しい故郷の風景と変わりゆく街並と共に映し出していきます。
監督の中川龍太郎は、この映画を「翔べない時代の魔女の宅急便なんじゃないか」と言っています。澪は『魔女の宅急便』のヒロイン“キキ”のように特別な才能は持っていませんが、故郷を離れ、別の街へ降り立ち、そこでは「出会いがあり、別れがあり、学びがあり、成長があることは変わらない」のだと。特別ではないヒロインだからこそ共感する。そして共感した後は、いま自分自身がいる場所を愛おしく感じるはずです。
| 詩的度 |
★★★★☆
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| 透明度 |
★★★★☆
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| 輝き度 |
★★★★☆
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脚本・監督
中川龍太郎
脚本
末木はるみ
佐近圭太郎
出演
松本穂香
渡辺大知
徳永えり
吉村界人
忍成修吾
光石研
樫山文枝
配給
ファントム・フィルム
11/15(金)新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
©2019 WIT STUDIO / Tokyo New Cinema
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