CULTURE
その美しさに惑わされる!新星ロレンソ・フェロのデビュー作『永遠に僕のもの』
『永遠に僕のもの』
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主人公の行動や心理がまったく理解できない、共感が難しいことだってある。であれば、そこには映画としてのどんな面白さがあるのだろうか──。
アルゼンチン映画No.1を記録した『永遠に僕のもの』は、アルゼンチン犯罪歴史のなかで最も有名な連続殺人犯の少年──1971年から1972年にかけて強盗と殺人を繰り返したカルロス・ロブレド・プッチの半生にインスパイアされて作られたクライム青春映画だ。本作のプロデューサーが『オール・アバウト・マイ・マザー』『トーク・トゥ・ハー』のペドロ・アルモドバルであることも見るきっかけになるだろう。
世界的に注目を浴びているアルモドバルの美意識を引き継ぐ者として選ばれたのは、アルゼンチンのルイス・オルテガ監督。そして主人公カルリートスを演じるのは、アルゼンチンの有名俳優ラファエル・フェロを父に持つロレンソ・フェロ。子役として多少の演技経験はあるものの、本格的な映画初出演にして初主演作となる。彼が演じるカルリートスは「黒い天使」と呼ばれたように、犯罪者なのに人々を魅了する美しい青年だ。映画のなかにも「マリリン・モンローみたいだ」というセリフがあるように、たしかに美しい。
なぜカルリートスは罪を犯すのか、なぜ人を殺しても心が痛まないのか。彼の行動も心理も理解できないことだらけだが、そのなかで観客が理解を示すものがあるとすれば、愛だろう。それは、自分だけのものだと思いたいほどの相手への興味や想い、『永遠に僕のもの』という邦題からも受け取ることができる。
『オーシャンズ11』のような華麗な犯罪テクニックを見せるわけじゃない、『羊たちの沈黙』のようなサイコパスでもない、17歳という年齢を描いた青春映画ではあるけれど普通の高校性とも違う、でも強烈な美しさとカリスマ性を持ち「盗みをやっているんじゃない、生きているんだ」と平然と言ってしまうその主人公になぜか魅せられてしまう──人は美しさに惑わされる、そんな体験ができる映画だ。
犯罪度 |
★★★★★
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恋愛度 |
★★★☆☆
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青春度 |
★★★☆☆
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監督
ルイス・オルテガ
プロデュース
ペドロ・アルモドバル
アグスティン・アルモドバル
ハビエル・ブリア
出演
ロレンソ・フェロ
チノ・ダリン
ダニエル・ファネゴ
セシリア・ロス
配給
ギャガ
宣伝
スキップ
2019年8月16日(金)渋谷シネクイント、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館他全国順次ロードショー
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