CULTURE
少年の生きる力に心を揺さぶられる『存在のない子供たち』
『存在のない子供たち』
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なぜ、主人公ゼインは実の両親を告訴したのか?『存在のない子供たち』は「両親を訴えたい。僕を産んだ罪で」という少年の衝撃的な言葉から物語が始まり、両親を訴えることになった理由が、時間を遡って描かれていきます。
ゼインが両親と姉弟姉妹と暮らすのは中東の貧民窟(スラム)。私たちが知る子供は、学校へ行き、学び、遊び、親に愛されて育つものだと思いますが、ゼインはそのどれにも当てはまりません。学校に行かず、家計のために一日中働かされ、しかも両親が出生届を出していないため誕生日も分からない。そんな彼の心の支えは仲良しの妹サハルでしたが、ある理不尽な出来事によって兄妹は離ればなれに。怒りと悲しみでゼインは家を出てしまいます。そして、さらに過酷な現実のなかで生きることに……。
この映画はフィクションですが、ナディーン・ラバキー監督が3年間のリサーチ期間に目撃したこと、経験したことが盛り込まれています。描かれる貧困や移民の問題はリアルな問題なのです。また主演のゼイン役の少年をはじめほとんどの俳優が演技経験はなく、キャラクターと似たような境遇に生きる素人をキャスティング。ドキュメンタリーではないけれどリアリティがあり物語に引き込まれます。
こういった社会派映画は、難しいんでしょ? 暗いんでしょ? 気持ちが沈むんでしょ? 誰だって目を背けたくなります。でも、どんなに過酷な人生であってもゼインは生きようとする、立ち向かおうとする、成長していく、その姿に心を揺さぶられるのです。この映画を見た人生と見ない人生とでは“生きる”姿勢がぜんぜん違ってくる。学ぶこと、愛されること、生きること、当たり前だと思っていたことについて考えさせられる。観て良かった──心からそう思える映画です。
演技に感動度 |
★★★★★
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知る衝撃度 |
★★★★☆
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ゼインの美形度 |
★★★★☆
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監督
ナディーン・ラバキー
製作
ミヒェル・メルクト
ハーレド・ムザンナル
製作総指揮
アクラム・サファー
出演
ゼイン・アル・ラフィーア
ヨルダノス・シフェラウ
ボルワティフ・トレジャー・バンコレ
カウサル・アル・ハッダード
ファーディー・カーメル・ユーセフ
配給
キノフィルムズ
2019年7月20日(金)より、シネスイッチ銀座、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国公開
©2018MoozFilms/©Fares Sokhon
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